西和泉地区は、昭和20年代には、30数戸ありましたが、空港設置によって移転し、現在は、17戸が騒音下で暮らしています。

 この地域には、かつて、和泉城という城がありました。千葉氏の一族である大須賀氏(大栄町伊能)の支城としてつくられた中世の城址です。
 8年ほど前、西和泉と東和泉地区で、騒音地域の土地利用委員会ができました。その座長になった渡邊義本さんは、役員や若手とともに土地利用や地域の活性化を図るための検討を始めました。
 その中で、「ここらで歴史を見直そう、中世の歴史を1つのテーマにした土地利用を考えよう」ということで、意見がまとまりました。
 
 成田山仏教図書館から江戸時代の領主、田安公より西和泉村に下賜された『六諭衍義大意(りくゆえんぎたいい)』という江戸時代のシックな道徳教育書がでてきました。この古文書に述べられている6つの教えは、現在にも通じる貴重な内容であり、いわれをきちんとおさえて、記録を残していくことにしました。
 平成14・15年の成田市土地利用事業として、和泉整地公園(墓地)をいこいの広場に変える拡張工事が始まり、まず、和泉城の案内の「道しるべ」「由来」「六諭の碑」ができました。
共生委員の岩澤寛さん(左)と渡邊義本さん
 
騒音下で空港と共生し前向きに生きる。

 騒音下で暮らすことについて渡邊さんは、「空港を受け入れた以上、被害者意識でいるのではなく、共生のなかで自分たちも汗をかく。ここで生きるために何らかの道を拓いていきたい」と、抱負を述べました。

 また、このような活動をとおして、渡邊さんはこのたび、『和泉の郷 ふるさとと歴史探訪 〜今に残る人々の想い〜』を出版しました。「古きを尋ねて、新しきを知る。六諭衍義の心を地域の人がきちんと自覚し、忘れかけた村のことを見直すきっかけになれば。また移転する人にも、この村に育ったということ、西和泉に住んでいたことを土台にして生きていってほしい」と、語ります。

完成した「六諭の碑」


 


住民相談件数
〈成田国際空港株式会社〉
単位: 件
相談内容 2003年度
(平成15年度)
生活設計 移転 9
雇用 175
騒音用地等 19
環境関連 騒音 110
電波障害 90
防音工事 26
その他 13
地域振興 農業関係 4
その他 7
地域交流 49
空港建設・運営 空港建設 3
管理運営 54
その他 194
合計 753



 

・・・ 琴平神楽 ・・・


 松尾町には、4つの神楽保存会があります。そのひとつ、琴平神楽保存会の神楽奉納が、8月1日、琴平地区金比羅神社の境内でおこなわれました。
 この催しは、鎮風祭と呼び、本来は、二百十日(9月1日頃)の台風が来るころ、風を鎮め五穀豊穣を願っておこなってきたもの。現在では、稲刈りが早まったこともあり、8月の第1日曜日におこなわれています。
 神楽が始まったのは、寛文5年(1665年)。今から300年以上も前のことです。以来、伝統的に承継され、何度かの中断がありましたが、今の保存会が発足し、今年で24年目になります。
 奉納されたのは、「天鈿女(うずめ)の命」「鯛釣りの舞」「三方荒神(さんぽうこうじん)」「耕田」「鬼神」「神功(じんぐう)皇后」「田神(たのかみ)」など。農作業をベースにしたユーモラスな舞が続くなか、境内には出店も用意され、子どもたちはおやつを片手にすっかり神楽に見入っていました。
 
 松尾町について詳しくお知りになりたい方は、町ホームページをご覧ください。
 http://www.town.matsuo.chiba.jp/


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