空港公団の民営化というあたらしい状況を迎え、共生委員会では、主要業務である円卓会議合意事項の点検を、今後、どのような形で続けていくか、話し合いました。


活動を記録し、永久保存を。
 
 その結果、まず、2004年(平成16年)3月末までの合意事項(7項目22事項)の点検結果等を編集・整理し、必要な資料をつけて永久保存することにしました。早急に編集委員会を設け、作業に着手します。

中心となる課題は5項目17事項に。

 今後の点検対象については、円卓会議合意事項である7項目22事項とすることに変わりはありません。ただ、いままでの努力で改善されたものや、あたらしく問題になったものなどがあるため、「今後中心となる課題」に力点をおいて議論します。内容は下表のとおり、5項目17事項となっています。
 点検の流れは、スタディグループ(作業部会)を設け、検討項目の内容を整理します。そして、地域部会で問題点の把握、課題への対応について協議をおこない、共生委員会本会議に報告し、更なる検証をします。
 また、空港をめぐる状況の中であらたに問題が顕在化した場合は、迅速に対応し、検討項目に加えます。
 さらに、1年間の活動の総括や成果のまとめをおこないます。
 これらについて、国土交通省は、「株式会社では、地域との共生をあたらしい業務として明記した。共生委員会で議論し、ご指摘をいただきなからやっていく姿勢は従来と変わらない」。空港会社は、「会社法のなかに、環境対策や共生策が盛り込まれたので、引き続き一生懸命やっていく。今回、項目の重点化や作業の効率化などが決まったが、残された課題にはたくさんの難しい問題があると考えている。今後は、双方向対話型ということで、こちらからも積極的に提案していき、ご指導いただくやり方でやっていきたい」と、述べました。

円卓会議合意事項 今後中心となる課題
項 目 課 題 (事 項)
航空機騒音 ・W値の逆転現象への対応
・民家防音工事の恒久的助成制度に向けた再々助成制度の検討
・民家防音工事におけるサッシの軽量化と改善策
・民家防音工事の経年変化対策
・飛行コースの遵守
・4000m滑走路関連、平行滑走路関連の防音林・防音堤の整備
・発生源対策として、今後も航空機の低騒音化に取り組む
環境 ・地域環境、騒音下住民の健康に与える影響の把握
 (航空機騒音、排気ガス、低周波振動、営業騒音等)
・農業用ビニールハウス汚染の原因究明
・緑、林の回復について計画的な推進
・移転跡地の十分な管理および有効活用
落下物 ・北側からの着陸時の対策
電波障害 ・電波障害対策の実施
滑走路計画 ・平行滑走路については、話し合いにより解決
・横風用滑走路については、平行滑走路が供用した時点で
 あらためて地域社会に提案し、その賛意を得る
・飛行回数増加について地元、関係住民と協議
・22時台の飛行回数(10回/日)の遵守


 具体的な取り組みについて、国土交通省と空港会社はつぎのように答えました。

航空機騒音
○W値(うるささ指数)の逆転現象への対応
 より正確な評価方式が望まれる。2003年(平成15年)から、環境省が5年くらいかけて評価方式の検討を重ねているので、これに協力していく。
○民家防音工事の恒久的助成制度に向けた再々助成制度の検討
 制度が必要になるまでにきちんと方向性を示す。
○民家防音工事のサッシ軽量化と改善策
 さらなる軽量化を図るよう、メーカーに働きかける。
○民家防音工事の経年変化対策
 調査した家屋の約9割弱については、共生財団の助成制度でサッシの部品交換をすると、遮音性能が維持できることが分かった。住民負担も20%から5%に引き下げた。利用していただけるよう働きかける。
○発生源対策としての低騒音化
 現在、航空機はチャプター3という国際民間航空機構(ICAO)での騒音基準適合機が運航している。さらに、2006年(平成18年)から、より厳しい基準になるため、それに対応した航空機を導入するための準備をしている。
  
環境
○地域環境への影響、騒音下住民の健康に与える影響の把握
 航空機騒音、営業騒音、大気・水質については、常時測定局を設け、24時間体制で測定監視している。
 低周波振動については、家屋のがたつきを防止できるよう、共生財団の新規事業に盛り込んでいる。
 騒音下住民の健康に与える影響については、2003年度(平成15年度)に報告した。
 今後も引き続き、地域への影響を把握する。
○農業用ビニールハウス汚染の原因究明
 住民の方々との調査で、原因が航空機の排出ガスだと特定できないことについて、納得いただいてないのが現状。現在、航空機排出ガスの行方とハウスに付着したカーボンの由来について説明する準備をしている。

落下物
○北側からの着陸時の対策
 南側対策の洋上脚下げのような有効な方法がないことから、航空機の氷塊付着物調査をするとともに、着氷機に対しては整備の徹底を指導している。
 落下物がないように、引き続き調査・指導を徹底する。

滑走路計画
○22時台の飛行回数
 約束の回数(10回)を超え、1日あたり11回になっている。今後とも対策を講じて回数が増えないようにする。



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