成田空港の民営化をひかえた2月14日(土)、空港周辺の住民、地方自治体などの関係者約800人が参加して、成田空港圏フォーラムが開催されました。
 基調講演で加藤寛氏(千葉商科大学学長)は、「官の力に頼らない民間としての自立の必要性、世界が1つとなっている現況(グローバリゼーション)を認識することにより、地域が空港を自らの財産として盛り立てていくことが重要。空港公団の民営化も地域にとって大きなチャンスになる」と、言及されました。
 つぎにおこなわれた堂本暁子千葉県知事と加藤学長との対談では、空港圏として成田空港が個性ある豊かな拠点となるためのさまざまな提言があり、地域の一人一人が主役になって地域づくりをおこなうことの意義深さが話し合われました。
 周辺住民によるパネルディスカッションでは、パネラーや参加された住民の方から、「空港圏で地域通貨を導入しては」「住民パスポートを発行して飛行機に乗らない地元の人も気軽に空港を使えるようにしよう」「空港公団の農地を開放して、農村に夢をもつ若者を受け入れるなど、地域活性化のシステムづくりを」「空港圏全体に光ファイバー網を」「旅客のための観光ルートづくりを」など、建設的な意見が出されました。
 最後に、フォーラム実行委員会は、これらを「総括と提言」としてまとめました。内容は以下のとおりです。
 第1に、地域が未来の地域づくりに夢を持ち、その夢の実現に向けて力強く歩む必要がある。国際拠点空港としての成田空港がこの地にあることを基軸にし、豊かさと潤いを実感できる地域づくりを効果的に進めることが肝要。経済、社会、暮らしなど、あらゆる分野で地域住民が自ら発想し、成田国際空港株式会社、千葉県および周辺市町村と連携し、行動を起こすことが期待される。
 第2に、空港を基軸とした地域づくりを実現するためにも、成田空港自体が世界のトップレベルの空港をめざし、国際拠点空港としての役割を果たさなければならない。そのためには、当面は平行滑走路の2500m化、発着回数増加にむけて全力を傾注し、空港容量の拡大、空港機能の向上を図っていくことが必要である。
 第3に、地域の夢を実現し、空港自体の機能向上を図るためには、地域と空港が相互に理解を深め、協力しあって、それぞれの活力をいかし、ともに発展していく必要がある。空港は騒音問題などのマイナス面のほか、地域に経済的、社会的な効果をもたらすという大きなプラス面を持っている。同時に空港の建設や運営には、地域の理解と協力が不可欠。地域と空港が手を携える方向を打ち出すことができれば、相互に発展するはずである。空港公団が民営化されることを契機に、過去の歴史を乗り越え、地域と空港とのこれまでの共生を超えて、新しい地平に進むことができれば、成田空港は、地域の空港として周辺住民に親しまれ、また周辺住民は、空港を地域のかけがえのない財産として、誇りを持てるようになるだろう。

富里ひずめ太鼓のみなさんによる太鼓演奏



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