このたびの民営化に先立ち、共生委員会は、国・千葉県・空港公団と勉強会をおこない、地域と空港のあり方について質疑をおこなってきました。 民営化によって、いったい何が変わり、何が変わらなかったのでしょうか。周辺に住みマイナスの影響をうける住民の立場に立って、整理してみました。 空港公団民営化のプロセス。 昨年2月、国、千葉県、成田空港周辺の9市町村、空港公団の四者は「これまでやってきたことはこれまでどおりやる。また、これまでの事業をこえて充実した施策を講じるべきときは、協議して決める」といった覚書を交わしました。そして、昨年3月、成田国際空港株式会社法が閣議決定され、7月に国会を通過しました。 この後、政省令の策定作業がおこなわれ、閣議決定され、本年4月1日に新会社発足となりました。 環境対策・共生策は会社の事業。 空港公団が民間会社になったことで周辺住民として気がかりなことは、環境対策や共生策は今までどおりなされるのかということではないでしょうか。 「成田国際空港株式会社法」には、第2章で、環境対策・共生策を事業とすることが明記されています。 「成田国際空港の周辺における航空機の騒音等により生ずる障害を防止し、又はその損失を補償するために行う次に掲げる事業」として、騒防法・騒特法に定める対策はそのまま移行しておこなわれることとなりました。政令では、具体的に電波障害対策、移転対策、その他の対策が明記されています。 共生財団への出えんや周辺対策交付金を交付する事業も、「成田国際空港の周辺における生活環境の改善に資するために行う次に掲げる事業」として、具体的対策内容とともに明記されています。 また、空港周辺の住民の理解と協力を得ることがその事業の円滑な実施に欠かせないとして、国・空港会社は、生活環境の改善に配慮し環境対策・共生策を確実に営まなければならない、という配慮規定も設けられました。 さらに第3章に監督規定があり、「国土交通大臣はこの法律を施行するため必要があると認めるときは、会社に対し、業務に関し監督上必要な命令をすることができる」としています。 知りたいことQ&A Q共生委員:騒音防止工事等をおこなう主体はこれまでと変わりはないか。 A国:騒防法・騒特法に基づく防音工事を実施する主体は新会社であり、これまでと変わらない。 Q共生委員:民家防音工事の再助成や再々助成について恒久的なものを検討いただきたいと申し上げたが。 A国:法律や政令には、このような具体的な内容を書き込めない。このため、関係者による覚書の中で、完全民営化までに結論がでるように努力すると約束した。 Q共生委員:共生財団は、騒防法や騒特法などの法律ではできない対策をするために設置されたが、この解釈は、株式会社になっても変わらないか。 A国:変わりません。 Q共生委員:今後、共生財団の新たな事業が増えることも考えられる。資金不足におちいった場合、株式会社は追加の出えんが可能か。 A国:そういうことになる。 Q共生委員:会社が健全経営してくれればいいが、赤字になったときは、国がみてくれるのか。 A国:会社の経営をチェックする規定があり、必要なときは国土交通省が業務監督命令をだす。健全経営がおこなわれるようにチェックする体制である。 さらに公団法にはなかったが、今回、財政支援の無利子貸付規定を設けた。災害など不測の事態が起きた場合は、必要に応じて、この無利子貸付や予算補助により経営を支援していく。 Q共生委員:道路や河川、消防施設の整備など生活環境改善のための交付金交付等の事業はどうなるのか。 A国:新会社でも実施できるように法律を作り、覚書のなかでも約束した。新たな共生策の実施についても、地域との約束がまとまれば実施できるような規定になっている。 Q共生委員:交付金や環境・共生事業費は経営状態に左右されるのでは。 A空港公団:事業には最低コストというのがあり、その部類に入る。 A国:経営に影響をおよぼすほどの不測の事態が起きた場合は、国としても何らかの経営支援を考えることになる。
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