「今後の共生委員会のあり方」に対する見解

 さる2月6日に開催された第47回共生委員会で、共生委員会、千葉県、国、空港公団はそれぞれつぎのように見解を述べました。


共生委員会

 空港公団の民営化は成田空港問題にとって、一大転機をもたらすことになる。こうした新しい状況のなかで、地域と空港の共生のあり方について、あらためて問い直し、誤りなき対応を期さなくてはならない。
 
・共生は永遠の課題
 「地域と空港との共生という理念は、成田空港がこの地にある限り続く永遠の課題」(共生大綱・1998年〔平成10年〕12月16日)と規定されているが、巨大な内陸空港であり、地域との軋轢など長い経緯からみて、地域と空港の共生はまさに宿命的な課題である。成田国際空港株式会社法で「周辺の地域の住民等の理解と協力を得ることがその事業の円滑な実施を図る上で不可欠である」(第6条)と明文化されたのは、当然の帰結である。

・共生を担保する共生委員会
 その地域と空港の共生を担保するために設置されているのが共生委員会である。共生委員会は1994年(平成6年)10月14日の閣議報告『成田空港問題円卓会議の終結について』のなかで「空港の建設・運営における公正を担保するための第三者機関」と位置づけられ、それを典拠に、地域振興連絡協議会のもとに設立された。
 発足以来、共生委員会は主要業務である円卓会議合意事項の実施状況の点検をはじめ、地域住民との交流、歴史伝承に係る資料収集などの活動をつづけてきた。
 現在、歴史伝承部会については、その活動内容を堅持しつつ活動の場を移管する旨協議中である。

・問題解決のために
 共生委員会は「空港からマイナスの影響を受ける地域及び地域住民」(共生委員会設置要綱第2条)の立場に立って、騒音問題、落下物問題、環境問題などの改善に取り組んできたが、それに呼応して、国、空港公団が共生策を展開したことにより、空港周辺地域の状況が大きく改善され、住民が明るさを取り戻したことは事実である。
 このように、共生委員会はそれ相応の実績をあげてきたと自負しているが、空港公団の民営化後も共生委員会活動の重要性はなんら変わらないことを、この際、あらためて関係者間で確認されなくてはならないと考える。

・共生委員会も新たな段階へ
 共生委員会は自らのおかれた地位を明確に認識し、地域あるいは住民の声を集約して、空港側と対話していくことにこそ存在理由があることを自覚する必要がある。
 それはまた、地域あるいは住民が主体的に諸懸案の解決に取り組み、成田空港という強大な資源を活用するとともに、空港自体の発展を促すべき立場にあることを意味する。共生委員会はその先導役を務めることが求められる。
 空港公団の民営化はたしかに一大転機であるが、これを機に、地域と空港の共生が新たな段階に入ることを期待し、共生委員会も脱皮し、前進していくことをあらためて確認するものとする。

千葉県(地域振興連絡協議会事務局)

 共生委員会は発足以来、円卓会議の合意事項の実施状況について具体的な点検活動を続けており、これまでに地域環境の改善など多くの成果を上げてきた。
 平成14年4月には暫定平行滑走路が供用を開始し、この4月には空港公団が民営化されるなど、共生委員会を取り巻く状況は、近年大きく変化してきている。まさに、一大転機といえる。
 しかし、そうした状況の中にあっても、地域と空港の共生は永遠の課題であり、それは空港公団の民営化後も変わることがあってはならない。これを担保する共生委員会の活動が今後も継続される必要があることを、あらためて認識している。
 本年4月1日から、空港公団は、国の活動の延長としての特別な公法人から、商法上の民間会社となる。それを契機に、空港会社と共生委員会の関係をどう構築していくか、必然的に出てくる課題といえる。
 現在、理念や基本的業務について確認するとともに、共生委員会内に設置されている「歴史伝承部会」や「地域づくり部会」などの部会の取り扱い、また併せて事務的な諸課題についての検討を行っている。
 いずれにしても、共生委員会は地域と空港の共生を実現していく上でなくてはならない機関であり、空港公団の民営化後も、引き続き円滑な活動が行われることが重要であると考えている。

国土交通省航空局

 空港公団の民営化など成田空港を取り巻く環境は大きな変化を遂げようとしているが、共生の理念はいささかも変わらない。
 共生委員会についても、空港周辺住民の生活環境改善等これまでの活動結果は高く評価されるものであり、こうした活動は今後も継続される必要がある。
 今後は、第三者機関としての立場を保持しつつ、双方向対話型の考え方に立脚した機関として円滑な活動が行われることが重要になってくるとともに、共生委員会の業務体制、運営に係る経費が適切なものとなるように見直しを行う必要があると考えている。

新東京国際空港公団

 成田国際空港株式会社法、「新東京国際空港公団民営化に関する覚書」にもあるとおり、民営化後も引き続き環境・共生策を適切かつ確実に実施する。
 また、共生委員会のご指摘により、成田空港における環境・共生策が一層推進されたことは、空港公団にとっても、地域と空港の共生の実現に結びつく有意義なものであると考えている。今後とも地域と空港の共生の実現のために共生委員会活動が継続されるものと認識している。千葉県、共生委員会の見解を真摯に受け止める。



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