2003年度前半の
        点検をとりまとめて


 円卓会議合意事項の点検は、共生委員会発足以来10年近く、主要な業務のひとつとして取り組んできました。今回の点検は、民営化を目前にした空港公団との最後の作業となり、総点検の意味も含め厳しくおこなわれました。
 以下、結果を報告しますので、点検一覧表とあわせてご覧ください。


 
<合意事項の点検一覧表>

★詳細あり

項目 指摘事項等
1.騒音問題 民家防音工事再助成 恒久的再助成制度の確立を。★
条件緩和について、関係自治体と協議したことを評価。
民家防音工事施工改善 B工法サッシの軽量化と改善策について、メーカーと確認書を取り交わしたことを評価。★
低周波騒音 防止策を共生財団が新規事業として取り組むことを評価。心理的・生理的影響については引き続き見守る。★
飛行コース 着陸復行も含めて飛行コースが守られていない。航空機の安全上やむをえない場合を除き、今後とも必要な注意を。★
体制整備 W値について、環境省で見直す方向で検討に入ったことを評価。
航空機騒音の健康への影響について、2500m平行滑走路が供用された時点で、再度関係機関と調整しながら対応するという方針を評価。
エンジンテスト 営業騒音は日常的な問題として、恒常的に点検を。
防音林・防音堤 残された防音林・防音堤の整備を早急に。
低騒音化 空港公団はさらに厳しい基準の制定を働きかけており、評価する。
隣接区域対策 暫定平行滑走路供用後の騒音実態を踏まえ、隣接区域見直しについて、早急に検討を。★
2.移転問題 移転の公平化  
集団移転  
区域外移転  
3.落下物問題 再発防止 洋上脚下げ点検、航空機氷塊付着状況調査を実施するとともに、北側対策を引き続き検討する必要がある。
4.環境問題 自己監査  
緑、林の回復 回復された緑・林の管理がさらに求められる。
環境情報の公開  
5.電波障害 電波障害対策 暫定平行滑走路供用にともない、新たに受信障害が認められた地点について、調整できた市町村から順次対応しており、評価する。
共同利用施設について、関係市町村と相談しながら対策を実施したことを評価。
6.滑走路計画 平行滑走路 国、空港公団は、話し合い解決を表明しており、その対応を見守る。
横風用滑走路  
飛行回数  
深夜便の運航 依然として22時台の発着回数(10回/日)が守られていない。★
7.移転跡地 跡地の整備 移転跡地の現状を把握する必要がある。
民営化後の跡地管理はどのようになるか。



恒久的再助成を実施に移せるように考えていきたい。
民家防音工事の再助成
 共生委員会では、空港がある限り騒音は切っても切り離せない問題であり、恒久的再助成制度の確立が必要と指摘し続けてきました。
 空港公団は、「2003年(平成15年)2月28日の四者協議会での覚書にも入っており、完全民営化までに明らかにし、実施に移せるようにしたい」と、答えました。
 さらに委員からの「防音住宅に住んでいる人たちにとっては、防音効果が発揮され維持されていくということが、大きな期待。しかし、効果が維持されない状態のなかで暮らしている人も大勢いる。今後、恒久的な助成制度を考えていく場合、より耐久力のある設計・施工方法を研究していく必要がある」との指摘に、空港公団は、「私たちも大きな課題のひとつと考えている。今後、勉強していきたい」と、答えました。

サッシの部品交換、もっと迅速に。
民家防音工事施工改善
 2003年(平成15年)6月、共生財団と空港公団は、防音サッシの改良について、メーカー6社と確認書を取り交わしました。共生委員は、これを評価しながらも、「修理・交換工事への対応が遅い。確認書のなかでは、迅速・確実・丁寧に対応するとある。しかし地域のみなさんには、お願いしてもすぐに来てくれないという声がある」と、質しました。
 これについて、空港公団は「いままでの経緯を調べ、指導しながらメーカーとの関係をつくっていく」と、答えました。

低周波騒音
 低周波振動による建具のがたつきについて、防止策を共生財団が新規事業として取り組むことになり、共生委員会は、これを評価しました。しかし、心理的・生理的影響については、住民の声に耳を傾けつつ見守るとしています。

飛行コース
 「飛行コース幅ができたのに、まだ飛行コースが守られていない。また、着陸復行は、一種の緊急避難で、本来はない方がよい」という意見がでました。
 これについて、空港公団は、「飛行コースの逸脱について、合理的な理由がない場合は、国土交通省より航空会社に注意をしている。着陸復行は、お客さまの安全を考えてパイロットの判断でおこなうもので、その都度市町村に報告している」と、答えました。

上空を飛んだ着陸復行機が、レーダーにない。
 共生委員から「大栄町新田、十余三地区の住民が、9月に、朝9時半頃着陸復行機が上空を通過したと言っている。ところが、空港公団は管制レーダーに映っていないと言う。この問題、その後どうなっているか」と、質しました。空港公団は、これについて「今後は、住民の方にリアルタイムで連絡をいただき、すみやかに確認する」と、答えました。

隣接区域対策
 暫定平行滑走路供用後、問題があれば検討するということについて、「隣接区域だけでなく、隣接区域外、谷間地区の人たちにも、それぞれ意見がある。空港公団として、1年間の騒音データが出てどういう判断をされるのか」と、尋ねました。
 これについて空港公団は、「騒音データでみると線引きを変える理由はない。ただ集落を分断しないようにというのはわかる」と、答えました。
 さらに、共生委員の「今のところ騒音コンターの線引きの見直しは必要ないということか」との問いに、空港公団は「隣接区域の対策は共生財団がおこなっており、見直しも財団が検討している。また町独自の対策として、空調機をつけたりしている」と、答えました。


飛行回数
深夜便の運航
 22時台の飛行回数が、依然、守られていないことについて、国土交通省は、「さらに努力する。発着回数を増やす場合も、22時台は現状維持という通達を出した」と、答えました。



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