新田地区は、成田空港の東側に接する地区です。暫定平行滑走路が供用された日から、騒音をはじめ、さまざまな影響に悩まされてきました。
 このたびの交流会では、住民からの問題提起に対し、空港公団が防音壁をつくることについて前向きな回答をするなどの成果がありました。内容をご紹介しましょう。


住民/滑走路脇の防音堤を端から端まで歩いたが、4000m滑走路とおなじ造りをしているとは思えない。
空港公団/防音堤はどちらの滑走路も基本的には同じようにやってきた。4000m滑走路側も苗から植えたが、生い茂ってきたということ。通常、防音堤は、幅100m高さ10mにしているが、土地の問題でこちら側は幅が狭くなった。木は、苗木を植えるところを、2〜3mの木を植えた。3月、土壌が原因で育たないところに2mくらいの木を補植した。さらに6月には、即戦力ということで5mくらいの木を25本植えた。
住民/ナリコー南側の防音林の少ない所から非常に大きな騒音が漏れている。
空港公団/ナリコーと給油センターへの進入路となっている所だが、ここからの音漏れを防ぐために、防音壁をつくる技術的な検討をしている。順調にいけば、年度内にできるだろう。
住民/暫定平行滑走路が北側へ800mズレたため、南への離陸のとき防音堤の半ばあたりで上昇し、新田地区に直下なみの騒音をもたらしている。防音堤の全面的な見直しを求める。
空港公団/大変申し訳ないと思っている。今年の春からイラク戦争やSARSの影響で旅客が減り、飛行機そのものが軽くなった。軽くなるとどうしても早く上がってしまう傾向がある。防音壁など、できることから手をつけていきたい。


住民/リバース音が非常に大きく感じられる。騒音測定局のデータでは計り知れないうるささだ。
空港公団/新田地区のみなさんには、直下と違う着陸時の音でご迷惑をおかけしている。リバース音は車でいえばブレーキみたいなもので、安全運航のために必要。ご理解願いたい。


住民/直下地域の騒音と、横に位置するこの地区の騒音は質が違う。W値を見直し、飛行音、地上音、風向きなどを加味した評価基準を設けていただきたい。
共生委員/音の問題ではさまざまな勉強をしてきたが、ここでは、地上の営業騒音と地響き、振動などが堪え難く出ている。生活している人が抱えている騒音問題は、数値とは異なるようだ。これをW値で表すのは難しいが、なんらかの方法を考えていかなければ。
共生委員/以前、芝山町の千代田地区で、エンジンテストが原因で深夜に襖や障子が揺れる低周波騒音の問題が生じ、共生委員会で議論した。その結果、空港公団の努力と航空会社の協力により、エンジンテストが屋内でできるようになり、騒音が減った。この地区の騒音も、全員で取り組み解決していく問題だと思う。
空港公団/不快感をもたらし、大変ご迷惑をおかけしている。W値の見直しは、いま環境省で技術的な検討をおこなっている。この地区の対応については、町当局とも相談しながら検討していきたい。





住民/昨今、北側への延伸をにおわす発言が関係者から聞かれるが、共生・話し合いの理念からすると残念。撤回を求めたい。
空港公団/みなさんのお考えを重く受け止め、本来計画の2500m滑走路の整備に向けて全力を尽くしているところである。


住民/来年から空港公団は民営化され、数年後には株式が上場されるという。成田空港が国の手を離れたとき、騒音対策・地域振興策などはどこまで考えてくれるのか。
空港公団/この7月に成立した法律には、環境・共生策の事業範囲について今の法律以上にはっきりと細かく規定されている。法律に書かれていないことについては、国、県、周辺自治体、空港公団の四者で民営化に関する覚書を交わした。民営化後もその覚書に基づいて、共生策の実施に取り組んでいく。
国土交通省/一般的に、法律では業務内容を抽象的に書くが、このたびの法律では、非常に詳しく書いた。とくに公団法では一条もなかった共生策について、ひとつの項目を設け、細かく列記した。さらに新会社ではこれらを必ず実施しなければならないと義務づけをした。前例のない法律である。
 この法律を実施しない場合は、毎年度の事業計画や会社の役員、代表取締役が認可されない。法律の趣旨にそわない場合は、国土交通大臣の監督命令で強制的に国が命令を出せるシステムになっているので、ぜひご理解をいただきたい。


住民/成田空港から1〜2km以内は空港の一部のようなもの。ところが周辺の道路整備は惨めな状態だ。国際空港へと繋がる道路がこれでは周辺自治体の繁栄などあり得ない。
共生委員/富里市も道路問題で苦労している。これは国道なので空港公団が相手ではなく、国と話し合いをしている。誰と話すのがいいかを見極めれば、前に進む道は早いと思う。





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