農業用ビニールハウスが汚れるのは航空機の排ガスが原因ではないかとの住民の方々からの問い合わせに応え、空港公団は、地元住民、共生委員会と一緒に農業用ビニールハウス汚染原因調査をおこなってきました。そしてこの度、共生委員会で調査結果を報告しました。
 実際の調査は、住民が推薦した機関に依頼し、2001年(平成13年)4月から2003年(平成15年)5月にわたって実施しました。
 芝山町岩山、横芝町中台、松尾町蕪木のビニールハウスから採取した付着物、浮遊粉じん、空港内のエンジンテスト用新消音施設、ノイズサプレッサーから採取した付着物、遠隔地調査として茨城県新治郡新治村のビニールハウスからも付着物を採取し調べました。また洗濯物が黒く汚れるということで、これについても調べました。
 ビニールハウスの付着物にはカーボンが10%ほど含まれていることがわかりましたが、カーボンの由来を特定することができず、航空機との直接の因果関係ははっきりしませんでした。
 航空機の排ガスはどのように拡散してどこに行くのかという問いに対して、空港公団は、「航空機の排ガスは、空港を走行している時に非常に多い。空中を高速で飛ぶときは、空気中に拡散する。しかも発生源自体が移動しているので、拡散も広範囲となり、希釈も大きくなる」と、答えました。これについて共生委員は、「農家にすれば、飛び立つときにドラム缶何本分も燃やすのだから、あの燃焼した排ガスはどこへ行くのかというのが率直な疑問」と、述べました。
 報告書では、たしかに航空機の排ガスも一つの大気汚染の原因と言っています。調査そのものは、長期間かけてさまざまな角度からおこなわれました。空港公団では、今後とも因果関係の解明に努力するとしています。


 五所神社                                   共生委員 今関 紘

 山辺の荘の総社である五所神社は、蓮沼村殿台にあります。承安元年(1171)の創建と伝えられ、境内は樹木の深い緑につつまれて暗くその空間を静寂が支配し、神々の存在を意識させます。参道に貞享3年(1686)に寄進された2基の苔むした石灯籠があります。これに名を刻んだ蓮沼の里人は、西宮市の西宮神社にも石灯籠を寄進しており、この事はかつて九十九里浜の漁民が鰯漁を介して関西漁民と行来していたことを物語っています。拝殿の壁には江戸時代に奉納された絵馬が6点あり、英雄豪傑の力を借りて豊漁を祈ってか、加藤清正の虎退治や大江山鬼退治が描かれています。
 本殿は慶安2年(1649)に松平織部正ほか多くの氏子の寄進によって造営され、九十九里地方が殷賑をきわめた時代を表す歴史的価値のある優美な建造物です。装飾的な桃山様式で、金箔・黒うるし・胡粉(ごふん)の白・赤と緑は岩絵具で建物すべてを飾り立て、その洗練された極彩色には目をうばわれます。正面の向拝は唐破風、木鼻には龍・象・虎・獅子・獏・麒麟といった霊獣の彫刻が色鮮やかに配置されて、支輪と対になった腰壁には雲と波があしらわれています。柱はつややかな黒うるし、扉には古事にちなんだ「二十四孝」、側壁には「竹林の七賢」が刻み込まれ彩色されています。この本殿は県の有形文化財に指定されています。(蓮沼村在住)




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