2002年度後半の
        点検をとりまとめて

 円卓会議合意事項の点検は、共生委員会の主要な業務のひとつです。発足以来、22項目の多岐にわたって取り組んできました。この間、国・空港公団の誠意ある対応で多くの成果をあげましたが、暫定平行滑走路の供用によってあらたな問題が生じていることも事実です。
 このたび、2002年度(平成14年度)後半の点検作業結果をまとめましたので、一覧表とあわせてご覧ください。


 
<合意事項の点検一覧表>

★詳細あり

項目 指摘事項等
1.騒音問題 民家防音工事再助成 恒久的再助成制度の確立と条件緩和を。★
民家防音工事施工改善 B工法サッシの軽量化と改善を。★
サッシ部品交換工事の助成率をアップ。★
低周波騒音 引き続き、実態調査及び原因究明を。★
飛行コース 暫定平行滑走路供用後の実状を把握すること。
着陸復行機の実状を把握すること。
体制整備 うるささ指数(WECPNL)について環境省が見直しを。★
航空機騒音の健康への影響については、今後の検討課題。★
エンジンテスト 営業騒音は日常的な問題として、実態の把握を。
防音林・防音堤 残された防音林・防音堤の整備を。
低騒音化 空港公団はさらに厳しい基準の制定を働きかけており、高く評価する。
隣接区域対策 騒音等の環境への影響について、年間報告を早急にまとめること。★
2.移転問題 移転の公平化 移転後のケアがなされているかどうか見守る。
集団移転  
区域外移転  
3.落下物問題 再発防止 北側対策を引き続き検討する必要がある。★
4.環境問題 自己監査  
緑、林の回復 回復された緑・林の管理がさらに求められる。
環境情報の公開  
5.電波障害 電波障害対策 空港公団の対策の推移を見守る。★
6.滑走路計画 平行滑走路 国、空港公団の対応を見守る。
横風用滑走路  
飛行回数  
深夜便の運航 22時台の発着回数(10回/日)が守られていない。★
7.移転跡地 跡地の整備 移転跡地の現状を把握する必要がある。



防音工事は、恒久的に。 空調機のみの要望にも対応を。
民家防音工事再助成
 共生委員会の恒久的助成制度が必要との指摘に対し、空港公団は、再々助成も検討すると答えました。
 また、防音工事をしないで空調機のみ入れてほしいとの要望については、前向きに検討中と答えました。

重く、開けにくいサッシ、改善はいつできる?
民家防音工事施工改善
 B工法のサッシは重くて開けにくく、部品の消耗が早いなどの問題があります。共生委員会は、いつ頃改善されるのかを質しました。
 空港公団は、今年中には何社かのメーカーで改良が終わる予定と答えました。
 なお、サッシの部品交換については、4月1日より、助成率が80%から95%に引き上げられ、高く評価するところです。

低周波騒音
 低周波振動は航空機の離着陸が原因ではないかとの住民の声に、空港公団は、2002年(平成14年)3月と9月、成田市、下総町、芝山町、大栄町の10ヵ所で調査。約半数の建具にかすかな振動がみられるものの心理的・生理的影響はないと答えました。
 これに対して「サンプル数は、離陸42機、着陸287機。低周波音の発生が多いとおもわれる離陸の調査機数が圧倒的に少ない」「住民の立場では、心理的・生理的影響がないとはいいきれない」と、引き続き調査の必要性を指摘しました。

WECPNL値(うるささ指数)の見直しを評価。
体制整備
 暫定平行滑走路供用によって一部の地域で、W値が低くなる逆転現象がおきました。この問題については、国、県、成田市などの努力によって、環境省が見直しのための調査を始めました。共生委員会は、この決定を高く評価し、今後の推移を注意深く見守ります。
 共生財団の「騒音健康影響調査報告書」によると、「航空機騒音の情緒的影響を示唆する自覚症状の項目の一部において有意な差が認められたが、地域住民の情緒的・身体的な健康への航空機騒音の影響は、自覚症状として顕在化しているとは言えない」としています。共生委員会は今後の検討課題であると指摘しました。

暫定平行滑走路供用1年、どのような変化が?
隣接区域対策
 暫定平行滑走路が供用されて1年がたちます。騒音など環境に与える影響について、どのような変化があったのか、地域に報告する必要があると指摘しました。
 空港公団は、騒音だけでなく、水質、大気質についても整理して報告すると述べました。



 落下物問題は、着氷調査など、努力が重ねられていますが、北側については抜本的な対策がない状態です。共生委員会は、引き続きこの問題に取り組むよう指摘しました。



 暫定平行滑走路供用に関連して、対策外地域の約5割に電波障害が確認されました。現在、空港公団が対策を実施しているところなので、推移を見守ります。



さらに措置を強化。
深夜便の運航
 22時台の発着回数は1日10回と決められていますが、依然として守られていません。違反機の多くは貨物便とのことですが、この件について国土交通省は、「いままでも航空会社を指導してきたが、冬のダイヤからは22時台への繰り下げがないようにするとともに、遅れが出ないよう指導したい」と、述べました。



←戻る