暫定平行滑走路供用後、住民のくらしは?

 円卓会議合意事項の点検は、共生委員会活動の原点として、発足以来8年間、取り組んできました。その間、国・空港公団の対応によってさまざまな成果をあげてきました。
 しかし、暫定平行滑走路供用により、あらたな問題が生じていることも否定できません。共生委員会では、この間の点検作業結果をまとめました。
 一覧表とあわせて御一読ください。


<合意事項の点検一覧表>
項目 指摘事項等
1.騒音問題 民家防音工事再助成 恒久的再助成制度の確立を。本文に↓
民家防音工事施工改善 B工法サッシの軽量化と改善が進んでいない。本文に↓
防音サッシ修理助成の公平化を。
低周波騒音 調査の推移を見守る。
飛行コース 暫定平行滑走路供用後の実状を把握すること。
着陸復行機の実状を把握すること。
体制整備 WECPNL値の計算式に欠陥がある。解決へ方針を出すべき。本文に↓
エンジンテスト 暫定平行滑走路供用後の営業騒音について、実態を把握すべき。
防音林・防音堤 両滑走路の残された防音林・防音堤の整備を。
低騒音化 高く評価するが、発着回数の増加で必ずしも騒音の減少につながっていない。
隣接区域対策 1年程度の調査に基づいて検討すべき。
2.移転問題 移転の公平化  
集団移転  
区域外移転  
3.落下物問題 再発防止 引き続き、北側対策の検討が必要。
4.環境問題 自己監査  
緑、林の回復 回復された緑・林の管理を。
環境情報の公開  
5.電波障害 電波障害対策 実施、推移を見守る。
6.滑走路計画 平行滑走路 話し合いにより解決という国、空港公団の予定地内住民への対応を厳しく見守る。
横風用滑走路  
飛行回数 増便問題。本文に↓
深夜便の運航 飛行時間の遵守を。本文に↓
7.移転跡地 跡地の整備 移転跡地は十分に管理できているか。現状の把握を。



防音工事は恒久的に必要である。
民家防音工事再助成
 民家防音工事の再助成は、平成7年から国と自治体が実施してきました。しかし、既存住宅の防音工事は1回限りです。
 共生委員会は、これら既存の住宅について恒久的な再助成制度が必要と指摘しました。
 空港公団は、再々助成はあり得ること、どうすればいいか勉強すると答えました。

重いサッシ、改善が進んでいないが。
民家防音工事施工改善
 B工法のサッシが重く開けにくい・戸車、開閉部の消耗が早い・交換費用を住民が2割負担している現在の仕組みは公平とはいえない・修理に時間がかかりすぎるなど、以前より、問題を指摘してきました。しかし、いままで改善はなされていません。共生委員会は、あらためて改善を要請し、空調機のみを入れてほしいという住民の要求にも応えるべきであると指摘しました。
 空港公団は、どうすれば具体的な成果が得られるのか研究すると答えました。

WECPNL値に逆転現象、早急に改善を。
体制整備
 WECPNL値というのは、国が定めた航空機騒音の基本単位です。この基本単位にもとづいて、4000m滑走路と暫定平行滑走路の騒音値を合わせると、単独の騒音値より低くなるという逆転現象がおきました。住民にとってこれは納得ができない現象です。
 共生委員会では、WECPNL値が基本的に過ちを含んだ数式であることが分かった以上、「早急に是正されるべき」と改善を要請しました。
 国土交通省は、管轄の環境省と話をすると答えました。


22万回への増便発言があったが。
飛行回数
 さる8月、国は、「交通政策審議会航空分科会中間取りまとめ」で、「成田空港については、2500mの平行滑走路を早期整備したのち、地元と協議しつつ環境対策を適切に講じた上で、発着回数を22万回に増便していくのが望ましい」と述べました。
 増便問題は、地域社会に重大な影響を与えるので、地元及び関係住民と協議するという規定があります。共生委員会は、どのような手続きでおこなおうとしているかを国に質問しました。
 国土交通省は、「暫定平行滑走路が供用されて1年弱、当面は、成田空港全体の20万回をこなしていくので精一杯。22万回への増便はまだ先の課題だが、具体化するときは、手続きを踏んできめ細かくおこなう」と答えました。

深夜10時台の飛行回数がまもられていない。
深夜便の運航
 成田空港では、深夜10時以降の飛行回数は各滑走路について1日10回までと定められています。
 ところが、4000m滑走路での深夜便の飛行回数は、現在、1日平均12回となっています。
 共生委員会は、なぜ飛行回数を遵守できないのか、ただしました。
 国土交通省は、「原因を把握し早急に対応する」と答えました。





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