2003年度(平成15年度)は空港公団民営化に向けて、大きなうねりが起きた年でした。それにともなって、成田空港地域共生委員会のあり方が問われたことは言うまでもありません。
 2003年(平成15年) 7月、成田国際空港株式会社法が成立し、民営化は本格的に始動しました。空港公団自身、経営理念として「国際拠点空港としての役割を果たし、グローバルな航空ネットワークの発展に貢献する、世界トップレベルの空港」をめざすことを明らかにしており、成田空港はこの先、大きく飛翔することになるでしょう。
 問題はその空港と地域の共生です。共生の理念が「成田空港がこの地にある限り続く永遠の課題」(共生大綱)である以上、民営化後も、その実をあげなくてはなりません。その共生を担保することこそ、共生委員会の最大の使命です。
 この1年間、どうすれば可能になるか、関係者は真剣に検討を重ねてきました。成田国際空港株式会社法にも「周辺の地域の住民等の理解と協力を得ることがその事業の円滑な実施を図る上で不可欠である」(第6条)と規定され、会社は生活環境の改善に配慮し「事業を適切かつ確実に営まなければならない」とされていることからみても、地域との共生は至上命令に等しいと言えるでしょう。検討の結果、民営化後も引き続き、地域と空港の共生に真摯に取り組んでいくことがあらためて確認されたのです。
 2004年(平成16年)2月6日の共生委員会本会議で、共生委員会は見解を表明し「民営化後も共生委員会活動の重要性はなんら変わらないことを、この際、あらためて関係者間で確認されなくてはならない」と強調、さらに「民営化はたしかに一大転機であるが、これを機に、地域と空港の共生が新たな段階に入ることを期待し、共生委員会も脱皮し前進していく」ことを明らかにしました。これに対し、千葉県(地連協事務局)、国土交通省航空局、空港公団から、それぞれ共生委員会見解を支持する意見が述べられ、今後の方向が固まったのです。
 成田空港が巨大な内陸空港であり、地域との軋轢など長い経緯があったことを考えれば、地域と空港の共生、それを担保する共生委員会活動の継続は当然の帰結と言えるでしょう。共生委員会としては「空港からマイナスの影響を受ける地域及び地域住民」(共生委員会設置要綱第2条)の立場に立って、今後ともチェック機能を保ち続けていかなくてはなりません。それは共生委員会の原点でもあります。
 ただ、成田国際空港株式会社が商法上の民間会社へ移行するにともなって、外部監査機能と共生委員会活動をどう調整するか、という問題が出てくるでしょう。これまで共生委員会は本会議のほか、必要に応じて地域部会、情報公開部会、地域づくり部会、歴史伝承部会がそれぞれ活動してきました。その活動の仕方に、諸々の手続きなど実務的な理由で、今後、変化が起きる可能性がありますが、原点は変わりません。
 これからも地域の皆さん、千葉県、空港周辺自治体の理解と協力、国土交通省、空港公団(民営化後は空港会社)の誠意ある対応を切に期待します。



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