2002年度(平成14年度)は成田空港地域共生委員会が発足して以来、最も大きな変化に直面した年でした。一つは暫定平行滑走路の供用であり、もう一つは空港公団民営化の具体化です。こうした新たな局面を迎え、共生委員会は成田空港問題の解決、地域と空港の共生の実現に向けて、全力をあげて取り組んできました。
 2002年(平成14年)4月に供用された暫定平行滑走路の影響は予想を上回っています。まず成田空港の能力が飛躍的に拡大しました。地域への影響も大きく、芝山鉄道の開業、空港南口ゲートの開設が相次ぎました。
 しかし、その反面、地域で新たな問題が発生したことは見のがせません。それまで静穏だった地区に騒音禍をもたらしました。また2本の滑走路に挟まれた谷間地区では、うるささ指数(WECPNL)が以前よりも低い数値になるという問題が起きています。
 共生委員会はこれらの点を重視し、空港からマイナスの影響を受ける地域、住民の立場に立って、積極的に対処してきました。騒音対策など円卓会議合意事項の実施状況の点検は共生委員会活動の原点ですが、その後に発生した問題の解決も劣らず重要だと考えているからです。
 大きな変化といえば、空港公団の民営化が動き出したことをあげなくてはなりません。さまざまな曲折の末、成田は単独上下一体方式で民営化されることになりました。その検討の過程で、地域との関係が問題になり、民営化されたら共生が疎かになるのではないか、という声が少なからずあったため、共生委員会として善処を求めました。
 この点について、国土交通省、空港公団、それに千葉県、空港周辺自治体が協議を重ねた結果、共生策は従来どおり実施することが確認され、それを法律に明記する旨の覚書が交わされました。こうして成田国際空港株式会社法案は2003年(平成15年)3月、閣議決定のうえ、国会へ提出され、予定どおりいけば、来年4月から国が全株式を保有する特殊会社に移行することになります。
 暫定平行滑走路の供用、空港公団民営化の具体化によって、状況は大きく変化しましたが、その波紋はさらに広がるでしょう。本来計画どおりの2500m化は焦点の一つです。
 共生委員会は2003年(平成15年)1月、地域振興連絡協議会の堂本暁子会長(千葉県知事)から委員に委嘱状が交付され、第5期目に入りました。その際、堂本会長は成田空港を活かした地域づくりも手がけてほしいと発言されましたが、その点も含めて、共生委員会は引き続き地域と空港の共生を実現するため、総力を結集していくつもりです。地域の皆さんと千葉県、空港周辺自治体の理解と協力、また国土交通省、空港公団の誠意ある対応を願ってやみません。よろしくお願いします。



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