2006年度(平成18年度)は成田空港地域共生委員会にとって、大きな節目の年でした。共生委員会活動の第6期が終わり、第7期へ入った年だったのです。
 第6期は2004年度(平成16年度)にスタートして2年間、通算すると12年間になりますが、主要業務である円卓会議合意事項の実施状況の点検を中心に、活動を続けてきました。点検は重点化、効率化するという方針に従って行い、その結果は『第6期円卓会議合意事項点検総括』に集約しましたが、多くの懸案は解決に近づき、共生委員会に期待された役割は相当程度、果たすことができたと自負しています。こうした結果が得られたのも、国土交通省や成田国際空港株式会社の真摯な対応、地域振興連絡協議会の協力があったからだ、といっていいでしょう。
  しかし残念ながら、万事決着ということにはなっていません。たとえば、22時台の便数(10便/日)の遵守、W値の逆転現象への対応などについては、少なからず問題が残されています。「共生の理念は永遠の課題」であり、「円卓会議の合意事項を着実に実施することがすべての基本」(共生大綱)である以上、これらの残された課題の解決に向けて、今後とも努力しなくてはならないことを確認しました。
 こうした本来業務と同時に、第7期の共生委員会活動はどうあるべきか、これも大きな問題です。その点の究明にも取り組みました。共生委員会は地連協から委嘱され、その傘下にありますが、地域と空港の共生を推進していくには、国土交通省や空港会社と緊密な関係を保つことが必要です。そこで、これら関係機関と協議を重ねました。第7期の進むべき方向について合意したことを示したのが『共生委員会第7期発足に当たって』です。
 そのなかで、とくに注目されるのは「第7期は新しい共生スキームができるまでの過渡期と位置づけられ、何らかのシステムチェンジを模索せざるを得ない時期に当たるといえる。そのためには、時に、実験的な取り組みを試みることが必要になる」と規定されたことでしょう。それは空港会社の完全民営化が迫ってきたこと、成田空港に対し我が国最大の国際拠点空港として期待通りの役割を果たすべきだとの要請が強まってきたことと深くかかわっています。
 共生委員会としては、こうした状況に真正面から向かい合っていかなくてはなりません。その一環として、第7期においては、共生ワーキンググループ(WG)と共生スタディグループ(SG)を設け、前者は合意事項の点検など設置要綱に規定された本来の業務、後者は新しい共生スキーム形成に向けた準備のための業務を遂行することにしました。
 成田空港問題が新しい局面を迎えるなかで、共生委員会はそれにふさわしい役割を果たすことを求められています。最近、地域の一部に「共存共生から共栄へ」という動きが兆しはじめました。これは特筆されていいことです。
 しかし、その共栄はあくまで共生という土壌の上に花咲くものでなくてはなりません。その意味でも、地域と空港の真の共生の実現はこれからも共生委員会にとって、重く大きな課題であるということを心して活動を続けますので、さらなる理解と協力をお願いします。
 



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