成田空港地域共生委員会にとって、2004年度(平成16年度)は大きな節目の年でした。空港公団民営化で幕を開け、創立以来5期10年の足跡を残すことになったからです。
 こうした状況変化のなかで、地域と空港の共生をどう実現していくかがあらためて問われたのは、当然の成り行きだったでしょう。公団という公企業から株式会社という私企業に変わった以上、従来とまったく同じ対応というわけにはいきません。
 その点については、2004年(平成16年)5月の共生委員会本会議で「民営化にともなう今後の共生委員会のあり方」が承認され、方向が定まりました。業務については、円卓会議合意事項実施状況の点検に特化し、組織については、歴史伝承部会を航空科学振興財団へ、地域づくり部会を地域振興連絡協議会へ移管することになったのです。
 この方針に従って、この1年間、共生委員会は活動を続けてきました。最も精力的に活動したのが地域部会です。とくに合意事項の点検については、従来と異なった取り組みをしました。1つは対象の重点化、作業の効率化など点検の新展開で、地域と空港が力を合わせて問題の解決を図ったことです。もう1つは点検の総括で、具体的にどのような成果をあげ、事態を改善してきたかを包括的に記録する作業を進めました。
 これは合意事項を点検し、着実に実施することこそが共生実現の基盤を築くことになるという考え方に基づくものです。そのほか、地域住民の声を集約し、空港会社との対話を通じて、地域が抱える問題の解決をめざすことを第一義的役割とする立場から、地域での現地調査、地域住民・団体との交流を積極的におこないました。
 こうしたなかで、共生委員会が2005年(平成17年)1月から第6期に入るにあたって、いかに外部監査機能を発揮していくか、国土交通省、空港会社、地連協事務局(千葉県)など関係者との間で協議が重ねられたことは特筆されていいでしょう。その結果は2004年(平成16年)12月、「今後の共生委員会と第6期への対応について」に集約され、状況変化と時代の要請に応え、新たな展開をめざすことで、共生委員会は第六期のスタートを切りました。
 その際、地連協会長の堂本千葉県知事がメッセージを寄せ、とくに次の2点を強調されたことも特筆されなくてはなりません。
 「地域と空港の相互の理解と協力を前提として、地域と空港の関係をより良好なものとし、地域の安寧と空港機能の維持充実を調和的に実現すること」
 「地域と空港の相互の理解と発展を志向するという新たな地平に立って、双方向対話型の運営をめざすこと」
 これは第6期へ入った共生委員会にとって、なにものにも変えがたい指針であり、これからはこの指針に従って活動を続けていきます。
 成田の地に空港がある限り、地域と空港の共生はなんとしても実現しなくてはなりません。そのために、地域住民、それに千葉県をはじめ関係地方自治体の皆さんの理解と協力、国土交通省、空港会社の誠意ある対応を心からお願いいたします。



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