国内線を主とする金浦空港はソウル都心から17kmの位置にある内陸空港、国際空港である仁川空港は都心から50km離れた海上空港です。
 10月初め、共生委員会は、ふたつの空港の環境対策などを知るために視察を行いました。

研修会の様子。写真左は、金浦空港、右は仁川空港で。
■金浦空港
 市街地にある金浦空港は、航空法によって騒音対策を行っています。 第一種区域は移転区域、第二種と第三種区域は防音区域で、防音施設設置、テレビ受信障害対策、共同利用施設整備、学校防音及び冷房施設設置支援などをしています。これらの対策は、10年前に成田空港を視察し、成田の対策に学んで法律をつくり運用してきたそうです。
 金浦空港周辺には、成田空港同様に騒音測定局が設置されています。金浦空港では、国際線が仁川に移ったのち、騒音値がWECPNLで81.0から74.4に減少しました。しかし、騒音区域縮小の告示は、残っている2万6千戸の騒音対策を終えた後、実施するということでした。
 このほか騒音低減への対策として着陸料金を5つの騒音等級に分けて付加して徴収し、防音対策では住宅地そばに防音壁が設置されていました。
 ところで、共生委員会のような組織はあるのでしょうか。この質問に対して、「空港公社、政府、自治体、住民代表、専門家で構成する騒音対策委員会があり、騒音被害地域住民の要求を検討し、政府に建議、また騒音対策の実施優先順位などを話し合っている。現在、住民から飛行高度制限、健康調査、現金補償、税金免除などの要望があるが、現行法ではできないため、特別法で対応するよう努力している」と説明がありました。

■仁川空港
 仁川空港はふたつの島の間の干潟を埋め立ててつくられました。現在、3本の滑走路で運用していますが、将来的には滑走路4本、面積は成田空港の約5倍、発着回数53万回のハブ空港をめざしているということです。
 仁川では、建設段階で成田空港、関西空港を勉強したということです。漁業者への対策として現金補償や転職支援などを行ったという説明がありました。

 視察を終えて、委員は「金浦では法律を変えてまでも予算を確保し対策を準備しておられる。成田は30年もかかっているのに、10年ほどでこれだけの対策をしたことに敬意を表したい」と感想を述べました。

 新しい共生スキームの検討を機に、共生委員会では、14年間の活動をまとめた記録集作成の準備を進めています。
 内容は、空港や地域をとりまく時代背景はどうだったか、共生委員会の活動はどのような仕組みでやってきたか、何に取り組んできたか、関連して何があったかなど。前史から5周年まで、空港民営化まで、それから第7期の終了までの3つの時期区分に分けて記録します。


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