国・千葉県・空港会社によるプロジェクトチームでは、新共生スキームのあり方について、今年3月から検討を続けてきました。さる9月5日には、共生委員会も参加して、11月を目途にその方向性を示すことが話し合われました。
 それによると、「1.共生委員会の活動などによって共生は着実に前進した。2.共生の理念は、成田空港がこの地にある限り永遠の課題。これまでの共生スキームが『成田方式』として独自の実績を積み重ねてきたことを高く評価し、今後の教訓として生かすべき。三、新しい共生スキームの方向性としては、地域と空港の『共存』『共生』を原点とし、地域も空港も一緒によくなっていく『共栄』に軸足を置き、共生委員会、共生財団、それに関連するプロジェクトなど、全体を有機的に包括して見直す。それには双方向対話型で取り組む」としています。

 これらの報告に対して共生委員は、「共生委員会は共生大綱のもと、地域との合意で続いてきた。国・千葉県・空港会社は、今後も共生大綱を地域憲法的なものとして遵守し、それを担っていく、その一環として共生委員会も位置づけられるという構造になってほしい」「懸案事項はどんどん解決されて審議事項がなくなると思っていたが、平行滑走路が2500m化されて運用を始めると、22万回の次の増便も間近だという感覚で、空港の最終形がもっと大きくなる感触がある。そうなると新しい問題が出てくるのではないか。また、騒音評価指標もWECPNLからLdenに移行するという。そうなると計器類が変わり、線引きもどうなるのか。いずれにしても新しい検討項目が加わることもあるだろう。そういう意味で、共生委員会はもう少し存続すべきである。」「新共生スキームへの着地は、もう少し地域の声を聞いて、不安を取り除いて、2年後3年後と段階的にしてほしい」などと発言しました。
 共生委員会は、実効性のある新共生スキームの構築に全力を傾注するよう三者に要請しました。


 歴史伝承プロジェクトの継続が決定したのを受けて、8月22日、歴史伝承委員会では、歴史伝承館(仮称)のコンセプト案が示されました。
 内容は名称、目的、対象、主な活動、施設の性格や基本機能、歴史伝承事業の意義、パブリックメモリーという考え方についてです。山本代表委員は歴史伝承委員会顧問として、これらの報告を「歴史伝承委員会の見解として受け止める」と発言しました。
 その後、9月5日に、国・千葉県・空港会社・共生委員会の四者協議が開かれ、1.第三者性・公平性の担保、2.収集資料の帰属について、法的見地と寄贈者の理解の双方から措置、3.常設展示については関係者と各種の調節を行い、実現可能な最善の方法を追求し実現すること、という三点が確認されました。

 この経過報告を受けて、共生スタディグループは次のような見解を出しました。
1.歴史伝承プロジェクトは成田空港問題の歴史的事実を客観的に解明し、資料の収集保管、整理、調査研究、企画展示などの実績を積み重ねてきた、この成果への評価は高い。
2.新しい共生スキームへの移行の検討が進められる中で、歴史伝承プロジェクトの継続が合意された。この方針は変わってはならない。
3.歴史伝承委員会は、常設展示施設の整備についてコンセプト案をまとめ、立場を明確にした。これは重く受け止める必要がある。
4.歴史伝承プロジェクトの具体的な展開については、今後、新共生スキームを検討するプロジェクトチームの協議に委ねられるが、多くの課題を克服し、「実現可能な最善策」を見出すことに努力し、真摯に対応していくことが切に望まれる。

 この報告に対して、9月19日の共生委員会本会議では各委員から次のような発言がありました。
 「プロジェクトの継続は地域住民の願い。評価されてよい」「公平性の担保は大きな命題。第三者の助言を求める仕組みを整備して、将来的にも対外的にも評価の高いものに完成させてほしい」などの意見がでました。
 これに対して空港会社は「公平性の担保はきわめて重要な話。歴史伝承委員会のあり方については、新共生スキームの中で検討されること」と答えました。
 山本代表委員は「空港会社は素案を示したからと言って、上からものを言う立場にはない。共生委員会、共生財団、歴史伝承プロジェクトは全体的に有機的に包括していくということなので、そちらの検討を待ちたい」と述べました。



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