共生委員会だより vol.55

 昨年末、東京都は地方税の偏りを是正するために3000億円を拠出し、その見返りとして「首都東京の重要施策」を提示しました。これを検討するために国と都は実務者協議会を設置し、その中で、必要に応じて分科会を設けることを決めました。
 重要施策のテーマの1つである「羽田空港の国際化」は、広域的な課題であることから、千葉県・神奈川県にも参加要請があり、「羽田空港の国際化に関する国と都・関係県実務者分科会」が設置され、さる2月18日に第1回会合が開催されました。
 羽田空港は、現在、30万回の発着が可能ですが、再拡張で滑走路が4本になると、同時に2本使って効率よく飛ばすことができ、40.7万回の発着が可能になると言われています。現在より約11万回増えることになり、国内線の需要予測に基づいて8万回は国内枠、残りの3万回分を国際線にまわすというのが、国の考えです。
 東京都はこれに対して、首都圏の航空需要はどんどん増えており、このままだと日本は素通りされてしまう。羽田の国際線が3万回を超えることは理にかなっている、と主張しました。
 千葉県は、羽田空港の国際化推進のみを前提とするのではなく、今後の首都圏空港のあり方を広く検討するべき、また羽田は国内の基幹空港であり、成田と羽田の有機的連携を進めるために両空港のアクセス向上は不可欠、などと主張しました。
 神奈川県は、京浜臨海地域が空洞化しているので、そこに物流をということを主張したとのことです。
 国は、この分科会での議論について、「2010年(平成22年)に4本目の滑走路が完成すると、予測として国内線は37.7万回に増える。羽田は国内線の基幹空港であり国内需要があるかぎり、そちらを優先する。ただ余裕のある3万回については、成田空港も逼迫していることから、補完的に使おうということになった。そこで3万回がどの範囲になるかという円を国際線需要の伸びを勘案して描いたら、国内線の最長距離と一致し、概ね2000km前後となった。3万回は、距離という観点からみると国内線と同等の距離に飛ばすのが、合理性がある。各自治体からも、国内線を忘れないでほしい、今でも増便してほしいと思っているのに、増えたから国際線に使うのではかなわない、と言われている」と述べ、今後の会議について、基礎データの収集、整理・分析を行い、それに基づき羽田の国際線発着枠について議論をすると報告しました。
 共生委員は「羽田は東京と神奈川だけの空港ではない、日本全体の空港だ」「羽田は国内線をきちんと満たすのが、公共的な責任。余裕の回数を国際線にまわして、近い所から積み上げていったら、2000kmの範囲になった。頭から制約条件を課したのではないことをきちんと説明していってほしい」と国・千葉県に要請しました。

 成田空港に南から進入する航空機は、氷塊などの落下物を防止するため、洋上で脚下げすることになっています。
 共生委員会では、2007年度も、国土交通省成田空港事務所が行った航空機洋上脚下げ遵守状況の点検に立ち会いました。結果は下記のとおりです。
年月日 時間 滑走路 点検機数 適切 不適切 遵守率
2007/11/21 14:00〜14:10 4000m 1 1 0 100%
暫定平行 3 3 0 100%
2007/12/13 14:00〜15:00 4000m 3 3 0 100%
暫定平行 1 1 0 100%
2008/01/09 14:00〜15:05 4000m 10 10 0 100%
暫定平行 4 4 0 100%
2008/02/07 14:00〜16:00 4000m 31 31 0 100%
暫定平行 15 14 1 93.3%
2008/03/06 14:00〜16:00 4000m 38 38 0 100%
暫定平行 14 14 0 100%
場所=蓮沼海岸殿下海水浴場。なお、11月21日・1月9日は風向きが変わったため、12月13日は雲による視界不良のため、途中で中止となりました。


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