共生委員会だより vol.51

 円卓会議合意事項の点検は、共生委員会の主要業務です。
 騒音問題から移転跡地の整備まで多岐にわたる点検内容の多くが実施に移されてきました。これは共生委員会による精力的な点検作業と国、空港会社、関係機関の真摯な対応に負うところが大きいといえます。
 地域と空港の共生は実を結び始め、2006年(平成18年)9月、空港会社は、北伸による平行滑走路の整備に着工しました。しかし、合意事項の実施という点では、残された問題が少なくありません。

1.第6期の点検

 第6期は、合意事項点検の重点化、効率化をはかり、点検のあり方も従来の一方的なものでなく、双方向対話型にするなど新展開で行いました。
 新展開での点検内容は、「今後中心となる課題」(5項目17事項)より、重点をおく事項、必要に応じて報告を求める事項、事態の推移を見守る事項と、3つの段階に整理しています。

2.点検の結果

 北伸による平行滑走路の整備が急進展したため、点検もそうした状況変化への対応を迫られましたが、全体的に見れば、円卓会議合意事項の実施は所期の目標に近づきつつあります。
 とはいえ、空港整備が急速に進むのにくらべ、地域内の懸案解決に時間がかかりすぎていることは否定できません。加えて、住民感情に配慮した丁寧な説明、きめ細かな対応という点では問題が残されています。その意味での改善が必要であり、国・空港会社には真摯な対応を求めました。

3.今後の対応

 成田空港問題をめぐる状況は、従前とくらべると大きく変化しつつあります。とくに、北伸による平行滑走路の整備によって、滑走路長の2500m化、年間発着回数の22万回化が実現する見通しとなりました。
 しかし、それと歩調を合わせて、地域にも光がもたらされなくてはなりません。共生大綱には「地域と空港との共生の理念は、成田空港がこの地にある限り続く永遠の課題であり、そのなかでも、まず円卓会議の合意事項を着実に実施することがすべての基本である」と規定されていることを、あらためて想起する必要があります。

 今期の点検において、合意事項の実施が前進していることと同時に、早急に対処すべき課題も残されていることが確認されました。今後、たとえ点検の手法が変わることがあっても、点検に象徴される共生実現への試みは、継承され続けなくてはなりません。


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