共生委員会だより vol.51

 
 共生委員会はこの1月、第6期を終わります。発足してから12年、思えば長い道のりを歩いてきたものだ、と感慨を禁じえません。
 この間、共生委員会は地域と空港との共生の実現に向けて、微力を尽くしてきたつもりです。関係者の努力もあって、共生の理念は着実に定着し、成田空港問題は解決に近づきつつあると期待できるところまできました。
 こうした状況のなかで、昨年、北伸による平行滑走路の整備が実現の運びとなりました。滑走路は2,180mから2,500mに、年間発着回数も20万回から22万回に増えることになりますが、成田空港の機能が充実し、国際拠点空港として期待される役割を果たせるようになることの意義は大きいと思われます。
 しかし、これと歩調を合わせて、地域にも光がもたらされなくてはなりません。北伸によって、新たな騒音問題に悩まされたり、紛争をひき起こしたりすることは避ける必要があります。共生委員会としても、かねてからそのことを強調し、事態の推移を注意深く見守ってきました。その点は今後も変わりません。
 しかし、中長期的にみますと、北伸にとどまらず、空港会社の完全民営化など、新しい局面へ入ると予想されます。基本的には、空港側の真摯な対応が必要ですが、同時に、地域側にも主体的に取り組んでいくことが求められることになるでしょう。手をこまねいていては、何も生まれません。
 その意味で、昨年、注目すべき動きがありました。芝山町・成田空港共栄推進委員会の発足です。この委員会は国土交通省、千葉県、空港会社と芝山町で構成され、懸案の解決に知恵を出し合い、ともに汗をかこうということになりました。
 「共存共生から共栄へ」という考え方を具体化したものだということですが、シンポジウム、円卓会議を経て導き出された共生の理念を、さらに発展させたものといえます。別の言い方をすれば、従来のやり方を変える、システム・チェンジを試みた、といっていいでしょう。
 ことしから、成田空港問題はますます新しい局面へ入っていくと予想されます。となると、在来の発想と手法では、対応し切れなくなるでしょう。
 いまのところ、芝山町は小さな一石を投じた段階にすぎませんが、これからは空港側も地域側も、こうしたシステム・チェンジに挑戦していく必要があるのではないでしょうか。
 こうした展開をめざす必要があるという点では、共生委員会も例外ではありません。システム・チェンジ――これに第7期は挑戦していきますので、ご理解とご協力をお願いします。


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