共生委員会だより vol.50

 

22時台の便数(10便/日)の遵守[滑走路計画]

国がヒヤリング調査を実施しました。

  円卓会議の合意事項により、22時台の便数は各滑走路とも1日10便までとなっています。ところが、1997年度(平成9年度)以降、4000m滑走路においてこの便数が守られず、2005年度(平成17年度)には年度平均で1日14.1便も飛んでいます。
  この事態を憂慮した国は、遅延の理由や原因を探るために航空会社へのヒヤリング調査をしたと、報告しました。
  調査は、今年2月・3月の実績をもとに、約130機を対象に行ったということです。
  それによると、遅延の理由の約50%は前便の遅れによるもの、そして機材整備によるものと貨物の積み込み等の作業の遅れによるものがそれぞれ約20%でした。
  実際に22時台の航空機騒音がどのくらいあるのか、空港会社が報告しました。
  それによると、今年3月12日から18日までの4000m滑走路での航空機騒音は、北側の荒海、芦田と南側の芝山集会所、中台の測定局では、平均79.8dBから81.6dBでしたが、1機ごとのデータでは、離陸時に、北側の芦田で最大値86.8dB、南側の芝山集会所で同87dBを記録しました。
  共生財団が出している空港周辺の航空機騒音の測定結果をみると、2004年度(平成16年度)の芦田の騒音最大値は、すべての月で90dBを超え、10月には最大96.5dBを記録しています。しかも、これらの大半が22時台です。
  共生委員は「22時台の出発便の約70%は貨物便で、離陸重量の最も重いB747、MD11などが使われている。そのため、1回の騒音レベルが90dBを超える所もあり、住民の安眠に影響を与えている」「10便以下にするんだという気持ちをもってやってもらいたい」「定期的なヒヤリングをした方が、効果があるのでは」などと意見を述べました。
 各航空会社は、遅延に対して以下のように対策を実施し、また実施を検討しているということです。
前便の遅れ対策=前便の出発空港に成田22時台の事情を知らせ、出発時刻を遅れないようにする。
貨物の積み込み作業=作業終了時刻を予定より5分から10分前倒しして作業を開始する。
 国は、「航空会社は危機感をもっている。我々としても、さらなる対策のためにIATAの発着回数を調整する会議で、22時台への遅延がないよう各航空会社に協力を求めた」と述べました。
 共生委員会は、国の今回の取り組みを評価するとしながらも、「今後の航空会社の改善への取り組みに対し、監督指導をお願いするとともに、冬ダイヤ改正時に、21時台後半の便の繰り上げを期待する」とし、事態の推移を見守ることとしました。


1.民家防音工事の経年変化対策[航空機騒音]

防音工事を行った家屋、遮音効果はどのくらい?

 防音工事は、C工法では20dB、B工法では25dBの遮音効果を目標として行うことになっています。しかし当初は、実際に防音工事がどの程度の効果を発揮しているのか、測定されてきませんでした。
 そこで共生委員会では、今後、新たに行われる防音工事については、完成時に計画どおりの遮音効果があるのか騒音測定を行い、その後は定期的に測定を行って、より正確に経年変化を把握してほしい、と要望してきました。
 これに応えて空港会社では、2004年(平成16年)10月以降に防音工事を実施したすべての家屋について、遮音効果を確認するための騒音測定を行っています。
 報告によると、2004年(平成16年)10月から2006年(平成18年)3月までに合計18件、住宅の屋内と屋外で測定し遮音量を確認したということです。結果は、概ね目標値を満たしているということでしたが、一部下回っている家屋がありました。これは、もともと屋外での音が60dBと低いことに原因があるという分析も出ているということです。
 共生委員はこの結果について、「空港があるかぎり騒音問題はつきまとうので、データを蓄積してほしい」「何年に1回かはデータをとるべき」と、要請しました。
 空港会社は、「お住まいの方の事情もあるのですべての家屋というわけにはいかないが、ご相談の上、何年かに1度という感じで追跡調査を行いたい」と述べました。


2.飛行コースの遵守[航空機騒音]

少しでも不安を軽減する努力を。

 空港会社では、1999年(平成11年)1月から、4000m滑走路と暫定平行滑走路について「飛行コース幅」からの逸脱監視を行っています。結果は、以下の表のとおりです。
 共生委員は、「飛行コース逸脱の中で、着陸復行は、いちばんの頭痛の種だ。安全上やむを得ないにしても、地域住民にとっては非常に不安。少しでもこの不安を軽減する努力をしていただきたい」と述べました。
 国土交通省は「逸脱機は減っているが、あくまでゼロをめざして指導している。着陸復行については、天候によりパイロットが判断して着陸を止めるものも含まれている。住民の方は驚かれると思うが、やむを得ないということで、ご理解願いたい」と述べました。
 
逸脱航空機数の推移
年度(平成) 航空機
発着回数
逸脱機
合計機数
合理的な理由が
なく幅を逸脱し
た航空機数
合理的な理由
で幅を逸脱し
た航空機数
着陸復行
機数
1998(10) 22,787 178 0 178
1999(11) 133,112 1,022 20 1,002
2000(12) 133,046 776 18 758
2001(13) 129,000 465 20 445
2002(14) 176,365 617 20 369 228
2003(15) 171,127 573 21 311 241
2004(16) 186,633 779 26 410 343
2005(17) 187,888 825 14 502 309
※1998 (平成10)年度は、1999( 平成11)年1月28日〜3月31日のデータ
 


 九十九里平野のまん中、作田川べりの湿地帯に食虫植物群落があります。大正9年に日本で初めて天然記念物に指定されました。ボランティア活動で植物群落を守っている川辺侃さんによると「この地域は江戸時代、芝はぎ場としてたえず人の手が入っていました。そのおかげで大型植物が生えず、これらの珍しい植物が残ってきたのです」とのこと。今もこの植物群落を守るために、ボランティアの手で、草刈りや野焼きなどが行われています。
 食虫植物は、日本では20種あり、そのうちの8種がこの植物群落にあります。伺ったのは夏、背丈10〜20cmほどの食虫植物のナガバノイシモチソウが白い花を咲かせ、赤いコモウセンゴケ、ムラサキミミカキグサも咲いていました。ここで見るかぎり、食虫植物は、どれも小さくてかわいらしい草花。虫を食べるというのは、実際は、茎や葉の腺毛、地下茎の捕虫嚢などで虫をとらえ、粘液で溶かして吸収するのだそうです。
 やはりボランティアで食虫植物を写真に撮っている能勢正代さんは、写真入りの説明看板を食虫植物の生えている場所に立てています。
 川辺さんと能勢さんは、週に3〜4回はこちらに来られるとのこと。その日も多くの見学者があり、おふたりは説明に追われていました。
 詳しくは、ホームページをご覧ください。
http://plants.sanmu.in/


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