共生委員会だより vol.50

 
 7月の共生委員会で、成田国際空港株式会社は、さる7月10日に北伸による2500m化について、飛行場変更許可申請を行ったと報告しました。あわせて滑走路の建設と運用が空港周辺の環境に与える影響について調査した結果を公表したと報告しました。
 その後、8月21日に公聴会が行われ、28人の方が賛成反対の意見を述べました。
 9月5日には、国・千葉県・周辺市町・空港会社により四者協議が行われました。そして同月11日、航空法に基づく施設変更の許可書が北側国土交通大臣から黒野匡彦空港会社社長に交付され、15日に北伸による平行滑走路の整備が着工されました。
 共生委員会では、9月13日に、航空法に基づく施設変更許可・四者協議について、国・千葉県・空港会社と意見交換をしました。
 

7月の共生委員会で。

 共生委員は、「北伸整備は、地域の理解や合意を得た上で申請をするのが筋だが、実際には、見切り発車をしたことになる。なるべく早く地域との合意を得てほしい」「移転については、騒特法に基づくコンターの中に入るかどうかではなく、あくまでも地域を分断しないよう弾力的に考えてもらいたい」「着工を急ぎたいから移転問題も急ぎたいとなると、住民はなかなか決められないことを急がされる。結論を急がされること自体、納得できないことになる危険性もある。場合によっては、決着できない積み残しの部分を相互に確認した上で、着工については住民が了解するという方法も選択肢としてあるのでは」と述べました。
 これに対して千葉県は「住民は、移転区域の線引きについて、移転対象となる80W の外までを地域として大きく捉えていたが、話し合いは到達点に近づきつつある」、国・空港会社は「話し合いは、もう少しであると認識している」と、述べました。

8月の公聴会で。

 成田空港暫定平行滑走路を北に伸ばして2500m とする案について、地元住民や関係者が意見を述べる公聴会が、8月21日、成田市国際文化会館で開催されました。公述人は、条件付きも含めて賛成が26人、反対が2人という結果でした。
 この公聴会で、小林成田市長は「平行滑走路の完成は、必ず地域の発展に大きく貢献すると確信している。住み続ける住民のためにも、騒音対策、地域振興策、生活環境の保全に十分配慮するよう強く望む」、相川芝山町長は「空港の発展は日夜航空機騒音にさらされている地域住民の尊い理解に支えられていることを肝に命じていただきたい。平行滑走路建設は地域住民の最大限の理解なくして進展できるものではない」、住民は「なぜこのような形で北伸が結論づけられ、整備されていくのか理解できない」、「騒音下の現状を見るかぎり、これ以上の発展は望めない。公平な騒音対策とその充実について、継続的かつ抜本的検討を望む」などと、述べました。
 この公聴会を傍聴した共生委員は、「賛成の大合唱だった。ご努力の結果だろう。しかし、民主主義は少数意見にどう向き合うかだと思う。ぜひ真摯に対応してもらいたい」「騒音地域の人がほとんど出てこなくて、業者の人が多かった。これでは公聴会が地域から軽く見られる。公聴会はこれでいいのか」「公聴会の賛成反対だけでは理解できないことがある」と意見を述べました。これに対して国は、「許可にあたっては、公聴会を重視している。賛成、反対の人数に関わらず、地域との共生の意味を問われたと思う」と答えました。

四者協議で。

 9月5日、2度目の四者協議が行われました。
 今回は、3月の第1回協議での未確認事項を中心に四者間で話し合いを行った結果、「平行滑走路の北伸整備に係る確認書」が取り交わされました。
 
主な内容

1.騒防法等について
 第二種区域案、第三種区域案について了承する。この区域で実施される騒音対策の変更内容について早急に検討を行い、区域指定を国が告示する前に決定する。『谷間地域』については、第一種区域並みの対策を実施することとし、早期実現を図る。
2.騒特法について
 四者は千葉県がまとめた地区設定案を了承するとともに、今後千葉県が策定する『航空機騒音対策基本方針』及び都市計画決定に協力する。
3.地元の意見への対応について
 四者は、地元協議の過程で出された、騒音対策や地域共生策に関する意見を尊重する。
4.発着回数22万回への増加について
 千葉県及び成田空港周辺市町は、現在の発着回数20万回を22万回に増加することについて了承する。さらに増加させる場合は、改めて地元と協議する。
5.その他
 空港会社は残る地権者との話し合いに引き続き努力する。千葉県、周辺市町もそれに協力する。


平行滑走路工事の着工。

 9月15日に北伸による滑走路整備が着工されました。工事のスケジュールのなかで、最も長い工事が国道51号線の付け替えです。2年はかかるとされ、その工事ののち、滑走路の整備が具体的に行われることになります。2500m滑走路の完成は、2009年(平成21年)の秋、供用は2010年(平成22年)3月の予定です。
 共生委員会は、現滑走路の運用とともに、この北伸整備による2500m滑走路の建設やあらたな周辺対策についても住民の立場でしっかりと見守っていきます。


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