共生委員会だより vol.48

 平行滑走路の北伸整備にともない、『騒防法』の区域指定と『騒特法』の基本方針が見直されることになりました。
 民家防音工事への助成や移転の区域は、いままでと比べてどのように変わるのでしょうか。内容について国・空港会社及び千葉県は、次のように報告しました。
 また国は処理能力の拡大にともない、発着回数を増加したい旨説明しました。

1.騒防法の騒音区域指定の考え方

 『騒防法』は、公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等を目的に国が定めた法律です。この法律によって防音工事に対する助成や移転補償等の措置が行われます。
 国・空港会社は、平行滑走路北伸によるあらたな騒音区域指定の考え方について次のように述べました。
1.2005年(平成17年)に成田国際空港(株)が公表した北伸の予測騒音コンターを基本にする。
2.騒音区域の見直しについては、平行滑走路北側において拡大の見直しを行い、その他の地域については、生活環境保全の視点から原則として現状の騒音区域を維持する。
 これによると、4000m滑走路での発着回数は現在13.5万回。北伸整備で平行滑走路は10万回の運用が可能になるため、騒音対策は両方合わせて23.5万回として行うとしています。
 この騒防法ではできない谷間区域や隣接区域への助成については、自治体や共生財団などが行っています。
 

2.発着回数の増加について

 成田空港の発着回数については、円卓会議の合意事項として、平行滑走路の供用開始時における発着回数は20万回を限度とし、その後の回数増加については地元と協議することとなっています。現在、成田空港は、2002年度(平成14年度)の暫定平行滑走路の供用時より、発着回数20万回を上限として運用しています。
 国・空港会社は、「成田空港の発着回数は、既に限界に達しており(中略)更に今後も、首都圏の国際航空需要は伸び続けていくことが予測される」として平行滑走路北伸による処理能力の拡大にともない、騒音対策は23.5万回で実施し、発着枠は現在の20万回から当面、22万回まで増加を図りたいと説明しました。

 このような平行滑走路北伸整備にともなう課題について、共生委員は、「新たに騒音区域に入る北側の人々は、どういう区域に指定され、どういう対策が行われるのか見えない不安がある」「航空機の低騒音化によって騒音コンターが小さくなり、対策は後退していくのではないかという住民の声がある」と指摘しました。これに対して国は、「地元にコンターを説明した時に、コンターが縮んでいるが対策区域は縮めないでほしいというご要望をいただいた。騒音区域指定の基本的な考え方をお示ししたうえで、現在、区域指定に向けて、地元のご意見を伺っているところ」と状況を説明しました。

3.騒特法に基づく「航空機騒音対策基本方針」の見直し

 『騒特法』は、概ね10年後に著しい航空機騒音が及ぶ地域を予測し、騒音障害の防止に配意した計画的な土地利用を進めることにより騒音障害の未然防止を図る目的でつくられた法律で、現在は、成田空港にのみ適用されています。
 千葉県は、この度の平行滑走路北伸整備による2500m化と発着回数の増加による騒音影響範囲が空港会社から提示されたことを受けて、関係市町とも協議のうえ、「基本方針」の見直しを行うと報告しました。
 見直しは、2005年(平成17年)に空港会社が公表した2015年度(平成27年度)の予測騒音コンターを基本にするとしています。
 具体的には、現地区を超えることが予測された平行滑走路北側などにおける「航空機騒音障害防止地区とすべき地域」及び「同防止特別地区とすべき地域」の拡大見直し、「防止特別地区とすべき地域」の見直しにあたってはコンターによって集落を分断させないよう、現地区決定の際の設定基準に沿って配慮するとしています。集落とは、地理的・社会的条件等からみて一体的な集落地と考えられる範囲で、原則として、組・班を原単位としています。
 また、4000m滑走路及び平行滑走路において現地区の縮小が予測されている地域については見直しを行わない、防止地区についてはコンターどおりとし一体的地域についての見直しは行わないとしています。


 

 黒竹というのをご存知でしょうか。黒竹は、青い竹が生えて1年目の冬を越したころから少しずつ黒くなるという珍しい竹です。この黒竹を使った伝統的な「下総袖垣」を作る越川勝之さんに多古町本三倉の工房でお話を伺いました。「安土桃山時代の伝統的な形を基本にして作っています。大阪で修行して、もう37年になりました。京都や四国には私のような職人はまだまだいますが、関東ではめずらしいと思いますよ」とのこと。越川さんは、黒竹を産地の和歌山から取り寄せるなど、材料の選定から制作まで納得のいく仕事を心掛けているといいます。
 袖垣は住まいの脇などを飾る垣根で、「下総袖垣」は、黒竹の枝で袖垣の上の部分を作り、中ほどに格子を配し、下の部分を晒した竹でシンプルに仕上げています。工房の周辺には、「下総袖垣」の材料である晒した竹や切り出したばかりの青竹、そして黒竹の枝があちらこちらに立て掛けられ、積み上げられていました。


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