●民家防音工事の恒久的助成制度に向けた「再々助成制度」の検討 防音工事は、1978年(昭和53年)から実施され、1995年(平成7年)10月に再助成制度が確立されました。その後、この再助成制度の条件が緩和され、火災等による改築、同一敷地外の自己所有地に改築(新築)する場合にも助成されるようになりました。さらに共生財団の設立によって、1995年(平成7年)4月以前の改築済み住宅についても助成されることとなりました。 その後の実施状況をみると、再助成制度の対象戸数3,900件のうち、実施されたのは2004年(平成16年)9月までで173件、改築済みの防音工事助成は32件でした。 再助成制度は、条件緩和や共生財団の設立による対応など、高く評価できます。しかし、制度発足から9年間で約5%の実施率です。これは、対象戸数の大半が農家型住宅で、改築するまでの期間が非常に長いためであることがわかりました。 問題としてあがったのは、再助成で改築した住宅が天災などで改築を余儀なくされる場合、この制度が適用されるのかどうかという不安が住民のなかにあることです。 今後の対応としては、恒久的助成制度に向けた再々助成制度の検討を完全民営化までにおこなう必要があります。 また天災などで再び改築を余儀なくされた場合、制度が適用されるよう柔軟な対応が望まれます。 ●民家防音工事におけるサッシの軽量化と改善策 防音サッシは、一般のサッシに比べてガラスが厚く、利用者から「重い」「部品が壊れる」などの声があがっていました。 この対策として、C工法仕様の民家防音工事については、1995年(平成7年)10月より、市販の防音サッシも選ぶことができるようになりました。問題が多いB工法サッシについて、空港公団は2003年(平成15年)、サッシメーカー6社、共生財団と防音サッシの改良等についての確認書を交わしました。 現在、共生財団では、「サッシ部品交換工事」に対して、助成をおこなっています。また、部品交換で防音機能を回復できない場合や防音工事後十数年を経過して交換部品が無い場合は、「サッシ交換工事」で対応しています。 さらに2003年(平成15年)4月より、財団の「サッシ部品交換工事」「サッシ交換工事」の利用者負担率が20%から5%になり、利用しやすくなりました。 今後の対応としては、サッシメーカーとの確認書に沿って、防音サッシの軽量化と操作性の向上を強く働きかけることが求められます。さらに、メーカーの改良が利用者に十分に伝わっていないため、今後は、改良された場合、内容について広報に努めることが必要です。 ●民家防音工事の経年変化対策 成田空港では、騒防法による防音工事を開始してからすでに四半世紀が過ぎました。このため住宅の老朽化が進むとともに防音工事をした箇所の老朽化も生じ、その対策を求める声が出ています。 2002年(平成14年)6月、空港公団は、「防音済住宅の経年変化実態調査」を実施しました。調査家屋は、防音工事をして10年以上経った住宅275件です。結果として、遮音性については、すべての住宅でなんらかの問題があることが判明しました。 その中の9割弱は共生財団がおこなっている助成事業を活用すれば遮音効果が維持できるとのことでした。しかし、矯正や改築が必要な1割強の住宅についての問題が残ります。 共生委員は「造りが堅牢な農家型住宅は、その家に改修を加えながら何十年も住み続けることが多く、遮音性能の維持について懸念がある」「少なくとも実態の把握をすべき」と述べました。これについて空港会社は「課題として話し合っていく必要がある」と答えました。 経年変化は、今後さらに加速し、事態が深刻化することが予想されるだけに、対策の強化が求められます。 現在、民家防音工事については、完成時に騒音測定はおこなわれていません。今後あらたにおこなわれる防音工事については、まず完成時に計画どおりの遮音効果があるかどうか騒音測定をおこない、その後も定期的に測定をおこなうことで、経年変化をより正確に把握することが望まれます。 2004 年(平成16 年)4 月から7月までの測定結果が空港会社から報告されました。 それによると、最小値と最大値は以下のとおりでした。
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