成田空港問題は空港公団の民営化によって、明らかに新しい局面へ入りました。昨年4月、新東京国際空港公団は成田国際空港株式会社へ、名実ともに生まれ変わったのです。
 その空港会社は経営理念のなかで、「国際拠点空港としての役割を果たし、グローバルな航空ネットワークの発展に貢献する、世界トップレベルの空港」をめざすと高らかに謳い上げました。これからの成田空港はさらにめざましい発展を遂げることになるでしょう。
 そのこと自体は望ましいことですが、問題は地域との関係がどうなるかです。地域と空港の共生という永遠の課題をいかに実現していくか、あらためて問い直さなくてはなりません。
 共生委員会は成田空港問題シンポジウム・円卓会議の流れを受けて、これまで5期10年間、地域と空港の共生を実現するために、活動を続けてきました。基本的な役割は空港からマイナスの影響を受ける地域、住民の立場に立ち、第三者機関として、空港の建設・運用をチェックすることです。
 そうした共生委員会の活動については、昨年、民営化後も継続していくことが国をはじめ関係者の間で確認されました。したがって、共生委員会は主要業務である円卓会議合意事項の実施状況の点検、つまり騒音対策や落下物対策などが着実におこなわれているかを検証することを中心に、今後もひき続き活動を続けます。
 現状では、空港会社法、国や地方自治体と空港公団(当時)との覚書に、地域と空港の共生は民営化後も変わりなく実施すると明記されておりますので、基本的な枠組みが揺らぐことはありませんが、いかにして実効をあげるかについては、注意深く見守っていくことが必要でしょう。その点も強く自覚し、共生委員会は真摯に取り組んでいきます。
 さらに、成田空港問題が新しい局面へ入ったなかで、空港の活力を地域の発展にどう結びつけていくかという命題に向かい合っていくことも必要になってきました。こうした地域づくりには、地域の皆さんの積極的な対応と果敢な行動がより一層、重く大きな意味をもつことになるでしょう。
 共生委員会はことし1月、第6期に入ります。従来以上に地域と空港の架け橋として役割を果たさなくてはなりません。そのことをご理解いただき、さらなるご協力をお願いいたします。



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