共生スタディグループ

日  時: 2008年(平成20年)9月9日(火)午後4:00〜
場  所: 成田空港地域共生委員会事務所
出席者: 共生スタディグループ

◇ 議題
 9/5の共生四者協議で、新共生スキームと歴史伝承プロジェクトについて討議し、方向性が出され、本日提出した資料の内容で了承された。
 
(1)新共生スキーム
   資料「新しい共生スキームの構築に向けて(9/5共生四者協議結果)」の説明を受け、意見交換した。
 国は国家戦略として、県は地域経営として、空港会社は空港運営として、成田と地域をどう考えるか。この三者による新共生スキームプロジェクトチーム(PT)では、それらを踏まえて議論してほしい。現実問題として、完全民営化した時に、共生スキームを仮に現在の形で続けていくことがどの程度可能か精査する必要があるし、手続き的なことも相当問題になる。共生委員会の任期だけの問題ではないので、PTが大きい目で見てどうするか、検討してもらう必要がある。
 共生四者協議の結果を受けて共生スタディグループとしての方向を出し、節目となる9/19の共生委員会ではっきり意見表明しなければならない。後日、論点整理メモを作成し事務局経由で委員に相談する。共生委員会当日に意見表明について最終確認する。
 
(2) 歴史伝承プロジェクト
 資料「歴史伝承プロジェクトについて(9/5共生四者協議結果)」説明。歴史伝承委員会から共生委員会に提出されたコンセプト案資料の「『NAA素案』に関する問題点と懸念事項」の部分を、共生四者協議に報告した。その場で「歴史伝承プロジェクトについて」の今後の対応の3項目、第三者性・公平性の担保、収集資料の帰属について適切に措置、常設展示施設の整備、が了承された。
 資料「歴史伝承館(仮称)と展示についてのコンセプト案・ネーミング案」「歴史伝承委員会事業PTによる施設の面積試算資料・面積比率グラフ」説明。4月に「NAA素案」が出されたあと、歴史伝承委員会で検討を重ねてきた。歴史伝承館(仮称)の面積試算については、一昨年の企画展示や収集した資料の量・価値を勘案したもので、考えられる理想的な広さをもっとも控えめに算出したもの。
 以上の説明を受け、意見交換した。9/19共生委員会では、共生四者協議で了承された3項目の確実な実施、とくに3つ目の常設展示施設について、上記に述べた面積算出の根拠を受け止めてもらわなければならない。そういうことを含め、きちんと意見表明する必要があるので、新共生スキームと同様にメモを作成し相談する。
  
◇ 意見交換
新共生スキーム
当初計画の規模である平行滑走路2500mの供用、22万回が目前に迫ってきているが、国や千葉県に対して、新共生スキームの構築において、もっとポジティブな役割を要求したい。
新共生スキームについて11月中に結論を出すためには、PTから、すでにいくつかの具体的なパターンが出ているべき。流動的状況ではあるだろうが、三者の足並みが揃っていないように思う。
空港会社としては、容量拡大するために共生委員会のような組織があった方が良いだろう。完全民営化した時にどうすれば存続できるか真剣に考えるべき。
環境省が5年後に向けWECPNLからLdenへの変更を進めている。先日、Lden研究会研修でその説明を聞いたが、さまざまな問題がある。そう考えると、新しい検討項目を加えて共生委員会は存続しなければならないと思っている。
新共生スキームを考えるとき、空港機能がどうなっていくかが重要。人口は減っていき、石油の値段は高止まりし、日本経済がかなり難しくなっていくときに、空港機能が年間30万回飛ばすほどになっていくのか、国土交通省に説明をしてもらうべき。
2年ごとの任期終了のころになると毎回同じ問題に突き当たっている。共生委員会を誰が評価し料理するのか。三者から、まずきちんとした評価を聞きたい。騒音地域住民側に立っての発言ができる共生委員会のような組織は残すべきである。
共生は理念としては定着しているが、どうやっていくかはこれからの問題。ただ、住民が当事者であるという線だけはどうしても譲れない。
共生委員会は多少変わっても残ったほうがいいと思うが、肝心なのは、住民が共生委員会を必要としているかどうかということ。シンポジウム・円卓会議後、住民からの声を謙虚に受け止めた国・空港公団、県が考えてきたものなので、完全民営化する区切りの時に、住民団体が集まり、共生委員会をどうするべきか話し合ってもらってはどうか。
共生スキームを考えるに当たり、成田空港問題とはどういう問題なのかに立ち戻って考えるべき。空港問題があたかも用地問題であるかのような状況になり、問題の本質が見えにくくなっていた。それを解きほぐしたのがシンポジウム・円卓会議で、これは地域と空港の関わり方の問題であると捉えなおして、解決の糸口を導き出した。その時に、地域と空港が健全な民主的手続きを経て意思決定できるような枠組みがあれば、共生委員会のような第三者機関は登場する必要はなかったと思う。地域と空港の問題の概念を整理し、当事者同士で、どのような共生関係や意思決定のプロセスを編み出せるのかが、共生スキームの本来の課題だと認識している。新共生スキームでは、空港と地域の再定義から入って、きちんとした目標を掲げるべき。
空港があるかぎり、地域住民の被害を最小限に食い止められるように誰かが見守っていかなければならないと思う。空港ができて30年、共生委員会発足後の方が空港周辺は格段に改善されてきた。問題が少しでも残っているなら、共生委員会のような組織はあった方が良い。ましてや空港会社は、共生委員会があったことで、いろいろなことが解決して地域住民の信頼を得ながら今の状態があると思う。
今までの2年ごとの任期切れと違うのは、完全民営化の関係である。今までどおりのやり方では財務的・手続き的に難しいことは確かだ。
1998(H10)年に出された共生大綱で、国の成田空港に対する基本的政策が確立された。もし共生委員会を続けるなら、国の基本的政策に空港会社がコンプライするとき、その一環として共生委員会が担い手として機能するという構造の中で、共生委員会を第8期も続けてくださいという形でないと立ち行かなくなる。とりあえず第7期が終わるから第8期へという延長戦の形でやっていくと、完全民営化したとき、こういう支出がどう正当化されるかという問題とまともにぶつかる。
たしかに視点を変えるというのは1つの方法。
  
歴史伝承プロジェクト
常設展示場については、予算の問題等があるので、小さく産んで大きく育てるという方法があると思う。しかし、場所(スペース)は確保しておく必要がある。
歴史伝承委員会座長との話し合いで、現在の歴史伝承委員の任期については、少なくとも2010(H22)年3月の常設展示場の開館までは存続すべきだということになった。今まで10年間活動してきて、ようやく常設展示場の見通しが立ったところで委員会解散ということになったら非常に問題である。
施設面積を試算されているが、設置場所の土地と建物の面積の比較はどうなのか。空港会社から具体的に設置場所が出た場合に、それをイメージしておいた方がよい。
今、ハードの中身を検討している段階で、そこまではいっていない。いずれにしても、一方通行で作られていくことはない。


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