共生スタディグループ

日  時: 2007年(平成19年)10月26日(金)午後4:40〜
場  所: 成田空港地域共生委員会事務所
出席者: 国土交通省、空港会社、千葉県、共生スタディグループ、共生ワーキンググループ
 
◇議題
(1) 国土交通省より「空港法案(仮称)」の概要、空港会社の完全民営化に向けたスケジュール(予定)などについて説明
 有識者による「今後の国際拠点空港のあり方に関する懇談会」において、国際拠点空港のあり方や適正な運営確保のための方策のあり方などが検討され、交通政策審議会航空分科会に報告された。同分科会での審議を経て、6/21に、「空港の着実な整備に加え、空港の管理・運営面も重視していく必要があるため、具体的仕組みについて早急に検討すること」との答申が出された。
 これを踏まえ、法改正等により具体的な制度設計を行うため、空港法案(仮称)について検討中。国内すべての空港を対象にし、空港種別のあり方の見直し、完全民営化後の国際拠点空港の適正な運営を確保するための具体的方策などを内容とする。
(2) 千葉県より千葉県・周辺自治体の動き(国際空港都市づくり構想)について説明
 9/10に県知事、空港圏9市町首長により懇談会を開催した。国際航空需要への対応、国際競争力の維持、強化、空港会社完全民営化への法案制定などの動きのなか、地域としてどう対応していくか意見交換を行った。千葉県より、地域を主体とした「国際空港都市づくり」を提案。内容は、都心・羽田との空港アクセス整備、地域資源を活かした国際観光振興など。意見交換では、地域として自発的な盛り上がりが必要、国際空港都市づくり推進のための組織を地域主体で作る、などの意見が出された。
(3) 歴史伝承
 担当委員・協力者の打ち合わせで、歴史伝承プロジェクトについて、1月末までに空港会社から全社的な意思として素案を出す、歴史伝承委員会として収集資料の保管場所について検討する、の2点が決まった。
 共生SGでの検討は、1月末に空港会社から素案が出たあと、春ぐらいからか。
 
◇意見交換
国は新しい法律を作りスキームを構築し、県は新しい局面にどう臨むか検討している。それらの動き以外に、官邸、東京都、神奈川県、経済界などでは成田限界論、羽田シフトの考えが多い。それらの事実にどう対応するかは避けて通れない問題だ。民間は民間で成田限界論と闘わなければならないという動きがある。
これに関連して、国土交通省に対し、次のような質疑応答が行われた。
 
Q: 羽田の位置づけはどうなっていくのか。
A: 成田空港建設以来の考え方として、成田は国際の基幹空港、羽田は国内の基幹空港で、羽田の国際線は成田で賄いきれない部分の補完であるという位置づけを堅持していきたい。アジア・ゲートウェイ構想の中でもさらなる羽田国際化の声があり、40年前の方針だけで成田限界論を乗り切れないのは事実で、適正に両空港の関係を明示していく努力が必要である。
 
Q: 完全民営化後、もし経営状況が悪化したら、環境対策・共生策はどう担保するのか。
A: 今後検討しなくてはならない問題だが、着陸料や旅客施設使用料(PSFC)などで確実に収益を上げられるような仕組みを作ることも大事である。
 
Q: 需要に対応した発着回数増加の発案は空港会社、国、どちらが行うのか。その時に、地元と協議する場は具体的にイメージされているか。
A: 完全民営化し純民間企業になると、投資判断は会社自身が決め、基本的に他からの制約は受けない。ただし、公共的性格から考えて一定の制約をするのはありうる。2017年には満杯になるであろう国際航空需要を考え、空港会社自身が将来計画をどう作っていくかがベースになる。これまでの成田空港の歴史、内陸空港であるという事実からすると、空港会社も地域の理解なくして増便はできない。
  
いくつかご意見が出たが、どのステージにいるかを把握したうえで対応しないと混乱する。現在、第1ステージとして、国が法律を作る作業をし、県も国際空港都市づくり構想を考えている段階。年内に法制が決まって年明けに法案が出る、これが第2ステージ。あと第3、第4…と続く。また、今回のような機会を設けて問題を整理しながら、今、我々として何をすべきか、共生SGで見当をつけて対応することが肝要。
 
歴史伝承について、空港会社の方針だけで決まってしまってよいのか。空港会社からの素案を待つだけでなく、共生委員会としても歴史伝承の望ましい方向性について議論すべきだ。また、機会を捉えて何とか実現しようとする気構えが必要。たとえば空港開港30周年記念事業として行うなど。それは手順前後の問題で、空港会社からの素案の内容を見てスタートするのもひとつ。それを待たずに、あるべき姿について共生SGとして議論し、共生委員会としての考えを出すなら、それもよい。


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