円卓会議合意事項点検の今後のあり方
 

2004年(平成16年)5月19日

1.民営化にともなう状況変化
(1) 新しい視点での取り組み
 空港公団は民営化により空港の管理・建設を行う公的な法人から、商法などの適用を受ける民間会社になった。成田国際空港株式会社法の規定によれば、成田国際空港株式会社(以下「空港会社」という)にとって、空港周辺の住民等の理解と協力を得ることが事業の円滑な実施を図る上で不可欠とされており、また、空港会社は空港周辺の環境・共生策に配慮し、これを適切かつ確実に営む義務を負うことになっている。
 空港会社は、民間会社であっても企業として環境・共生策への配慮が必要不可欠であり、企業の社会的責任が一層求められる状況を踏まえると、空港会社が自らも地域の一員として、信頼関係を築きながら、新たな視点で地域と空港会社の接点を大きくしていくことが期待される。

(2) 地域も変化への対応を
 こうした中にあって、地域は、空港会社を地域の一員と見て「同じ土俵」で議論することが重要である。すなわち、点検に際しても、従来のように疑問点の解消や問題点の指摘にとどまらず、空港会社との双方向対話を意識して、問題点の解決を目指す提案を行うことが求められる。

2.具体的な展開
(1) 点検表の永久保存
 空港公団民営化までの約9年3ヵ月にわたる7項目22事項の合意事項の実施状況を記録した点検表は、地域と空港の共生を実現する共生委員会活動の大きな成果であり、この点検表は、成田空港問題解決の礎となる歴史的な文書である。従って、この点検表を早急に、附属して提出された資料と併せて整理して、永久保存する。

(2) 点検の重点化、効率化
 今後の点検は合意事項7項目22事項を引き続き点検対象とするが、その中でも「今後中心となる課題」に力点をおくこととし、点検作業の重点化、効率化を図る。

(3) 住民の目線で
 今後、合意事項の点検を行うに際しては、地域住民の意見を聞いて地域の意向を十分に把握し、住民の不安や疑問の解消に努めることがより重要になる。また、双方向対話を目指すため、地域への共生浸透を図る見地から地域との交流を強化し、共生に参画することへの地域の理解を深めていくことが肝要である。

(4) 民営化になじむ方式
 株式会社になった空港会社は、商法上の内部監査や外部監査を受けることになるので、これらの監査機能と共生委員会の監視機能を整合させる必要がある。
 このため、点検の成果を共生委員会としても具体的に明らかにし、その活動が地域と空港会社の発展に資するよう配慮することが望ましい。

おわりに
 空港公団の民営化により、合意事項の点検は新たなステージに入った。合意事項の点検に関して、運営方法、空港会社、国との関係などを改善していくことが必要である。
 点検のあり方を従来の一方向的なものでなく、双方向対話型のものとすることも併せて、点検をより効率を上げることにより一層有意義なものとするように努力していく。



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