円卓会議合意事項点検の総括

2004年(平成16年)5月19日

 円卓会議合意事項の実施状況点検について、共生委員会は発足以来、主要業務と位置づけ真正面から取り組んできた。合意事項が着実に実施されてこそ、地域と空港の共生への道が拓かれると考えたからである。
 2004年(平成16年)4月の空港公団民営化に象徴される新しい状況を迎えたのを機に、点検作業とその結果をあらためて振り返り、その実績を確認し、問題点を把握することとする。それを踏まえ、今後、点検作業の新たな展開を期する。


1.点検の対象
 合意事項が円卓会議拡大運営委員会で確認されたのは、1994年(平成6年)12月であった。騒音、移転、落下物、環境、電波障害、滑走路計画、移転跡地の7項目を柱に、大小合わせて22事項が点検の対象とされた。これらは、きわめて多岐にわたる円卓会議での議論を集約したものである。

2.点検の作業
(1)地域部会を中心に点検
 実際の点検作業は地域部会を中心におこない、国、空港公団から合意事項の実施状況について説明を聴取し、資料を分析することから始まって、共生の実現に向けて地域の声を反映させるべく議論を交わした。そうした作業の結果は、本委員会に報告し、審議された。

(2)「点検表」で集大成
 合意事項の全事項について、国、空港公団が実施した対策を時系列的に整理し、点検結果を「点検表」として記録してきた。点検表は、いわば空港公団時代におこなった点検とその結果の集大成といえる。

3.点検の総括
(1)総体的には大きく前進
 合意事項は、騒音問題から移転跡地の整備まで多岐にわたるもので、かなり多くの事項は実施に移され、共生の実現に向けて前進した。
 主な例をあげると、騒音問題では民家防音工事の再助成にきめ細かな措置がとられるようになった、エンジンテストなど営業騒音の軽減について効果的な対策がとられた、などの事実がある。また落下物問題では、洋上脚下げや着氷調査などの防止策が実施され、落下物は大幅に減少した。このほか、防音林・防音堤の整備、緑・林の回復、電波障害対策、住民の意向に即した集団移転対策など、合意事項の実施が着実に前進した例は数多い。
 これは国、空港公団が真摯に対応した結果であり、その点は高く評価されていいだろう。エコ・エアポート基本構想の展開、共生財団の設立、共生大綱の制定などにも、前向きに取り組もうとする姿勢がうかがえる。

(2)今後の課題
 しかし、こうして合意事項の実施が進んだにもかかわらず、地域には依然として不満の声が少なからずある。その原因の1つは、対応が十分でないものや新たな問題が発生してきたことに起因していると思われる。
 たとえば、2本の滑走路の谷間地区でW値が下がって騒音測定のあり方に不信感が高まったことや、経年変化で民家防音工事の効果が減衰していることなどの問題が起きてきた。
 こうした問題の解消と、さらなる共生の実現のために、今後とも点検と対応が必要であると考える。


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