円卓会議合意事項の点検状況


2003年度(平成15年度)前半

日  時: 2003年(平成15年)10月31日(金)午後2:00〜
場  所: 成田空港地域共生委員会事務所
参加者: 国土交通省、空港公団、共生財団、千葉県、成田市、芝山町、下総町、共生委員会


 円卓会議合意事項の実施状況について、点検表に沿って説明を受け議論した。主な内容を以下に挙げる。

1.騒音問題
民家防音工事施工改善
空港公団:防音サッシメーカーと共生財団、空港公団で、「防音サッシの改良等について」の確認書を取り交わした。操作性の改良、改良内容の速やかな公表、部品・サッシ交換の迅速な対応などが盛り込まれている。
共生委員会:共生財団では、傷みが著しい防音サッシの交換やサッシの機能回復などに関する住民相談をおこなっているか、報告してほしい。

低周波騒音
共生財団:低周波音によるがたつき防止策について、新規事業として承認された。

飛行コース
共生委員会:大栄町新田地区住民が見た着陸復行機について、管制のデータや航跡図には該当機がなかったという問題があった。検討課題となっているが、どうなっているか。
空港公団:関係する様々なデータを調べたが、該当機は見つからなかった。今後このような場合、できるだけリアルタイムでご連絡をいただけるようお願いし、速やかに確認をとるようにしたい。

体制整備
共生委員会:共生財団が取りまとめた航空機騒音健康影響調査結果を受け、空港公団、共生財団、共生委員会で協議した結果、「2500m平行滑走路が供用された時点で、同様の調査を再度実施することを関係者間で検討する」ことが取り決められた。
空港公団:環境省で、5年程度かけてW値を見直す方向で検討に入った。

隣接区域対策
共生委員会:隣接区域や谷間地域から、騒音区域の線引きについて意見が出ている。暫定平行滑走路供用後の騒音データを参考に見直しを検討するとあるが、どのような結論が出たか。
空港公団:騒音データでは線引きの中に収まっているが、部落を分断しない線引きなどについてのご意見は理解している。隣接区域の見直しは共生財団で検討している。

4.環境問題
環境情報の公開
空港公団:農業用ビニールハウス汚染調査の最終報告で、ビニールに付着しているカーボンが航空機によるものかどうか、特定することができなかった。また、遠隔地との比較をしても同水準であった。カーボンの由来を特定するための分析は、これ以上は難しい。
 暫定平行滑走路側の調査の中間報告によれば、遠隔地を含めた調査地点に差異はなく、供用前とも特異な差はなかった。
 現在、航空機の排ガスがどのような動きをするか、研究中である。

5.電波障害
空港公団:暫定平行滑走路供用後の調査で電波障害が認められた地区への対応は、該当する19市町村のうち、調整ができた市町は今年度中に実施する予定である。その他の市町村については調整中である。

6.滑走路計画
飛行回数、 深夜便の運航
国土交通省:22時台の飛行回数は10回/日以下となっている。今年度は若干減ってきているものの、まだ10回を超えている。冬ダイヤに向け通達を出し、21時台の便の繰り上げを要請してきた。その結果、13回/週、繰り上げていただくことができ、2回/日程度、改善されると期待している。夏ダイヤの発着調整会議においても同様の要請をしていく。
共生委員会:空港公団から22万回への増便の話が出ているが、適正な手続きとコンセンサスを得るということは遵守してほしい。また、仮に22万回になった場合、22時台10回というのは守れるのか。
国土交通省:22時台は現状維持し、他の時間帯の時間値(1時間ごとに発着できる機数)の能力を上げていくことになる。

7.移転跡地
共生委員会:農業振興のために移転跡地を貸付けておられるが、貸付料の値下げを検討していただきたい。跡地の管理費を考えたら、むしろただで貸付けても有効利用になるのでは。
空港公団:農地で採算を得ることは考えていないが、税や用水の負担金などから貸付料が決まってくる。民営化後も地域の農業振興については継続していくつもりなので、妥当な金額が決まっていくと思う。
共生委員会:移転跡地面積の確定作業はどのようになっているか。管理されずに荒れている所があると地域住民から聞いているので、きちんと説明できるような情報がいただきたい。
空港公団:民営化に向けてさまざまな作業をおこなっており、その中ではっきりできると思う。

まとめ
共生委員会:今まで合意事項を点検してきた過程で、いくつかのことが実を結び、かなりの部分が実現しつつあると言える。国・空港公団、共生財団が真摯に受け止め対応してくれたからだと思う。その一方で、合意事項にない新たな問題が発生してきたことも事実である。W値の問題や経年変化により民家防音工事の効果が落ちることなどが挙げられる。そうしたなかで、合意事項を超えた次元の問題ではあるが、平行滑走路の2500m化、発着回数の22万回化という大きな問題が具体化してくるだろう。
 民営化を前に、空港側も地域側も、内陸空港である成田固有の問題にどう対処していくか考えていくべきだ。

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